2019年03月25日

ひろしま都心活性化プラン(素案)への意見|6.土地需要の減退と地価推移予測

郊外のショッピングモール

前回のブログでは「5.出生率の増加策と移住・定住者への魅力の創出」というタイトルで、人口減少を抑制するために”この町に住みたい”と感じてもらえるような街づくりについて書きました。関連するテーマで、今回は土地の需要に関して書いていきます。

6.土地需要の減退と地価推移予測

経済のグローバル化が進み、またネット社会の進展が加速化すれば、高度成長期の都市の膨張により郊外立地から市街地に飲み込まれていった工場や物流拠点、そして大規模小売店舗などは、より「地価が安く」そして「労働賃金の低い」「交通アクセスが便利な」地域に移動していくのは必然だろう。残された工場跡地、物流センターの敷地は、仮にそのまま広大な敷地を別の用途として利用しても、雇用はほとんど「非正規労働」で「低賃金」しか見込めない。

コンビニと駐車場また都市近郊の鉱工業(町工場)や商業が混在した地域では、企業の事業規模縮小や統廃合、郊外や海外移転など、今後土地需要は減退していくばかりではないだろうか。それでも過去15年間は巨大な工場跡地などに、広い駐車場を有する大型ショッピングセンターや複合施設が進出し、中小規模の土地にも家電量販店や食品スーパー、ドラッグストア、ホームセンターなどの中規模店舗が定期借地で出店してきた。

しかし無店舗販売のネット通販が増加し、人口減少や賃金の横這い、家じゅうモノがあふれて物品購入以外の消費が増える中、借地契約の更新時に、賃料の減額交渉や再更新しないお店も増えている。ガソリンスタンドも街中から消える中、それらの空き店舗・空き地の需要を埋めてきたコンビニエンスストアや携帯ショップなども、オーバーストア状態になって来た。すでに都心に残る数々の公有地でさえ跡地利用が二転三転するような土地余り状態が続いている。高過ぎるか大き過ぎるのだろう。

そんな状況に加えて、高齢化した土地オーナーの相続の発生も急増し、相続人が地元にいないケースも増えて、所有権は分散、土地利用は迷走して結局、賃貸マンション建築などに活用されて“周辺の空き家をさらに増加させる結果”になっている。土地や親の家はお荷物にしかならないという、30年前には考えられない状況を、将来の30年の計画にどう反映させていくのか、十分に練った都心活性化プランで土地利用をもっと流動化・効率化・活性化させたい。

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Posted by cms_hiroshima at 17:30行政への提言

2019年03月19日

ひろしま都心活性化プラン(素案)への意見|5.出生率の増加策と移住・定住者への魅力創出

広島市民病院から望む広島城址
前回のブログでは「4.交流人口・観光客の増加」というタイトルで、外部から流入する人々が魅力ある都市としてリピート訪問してもらうための基本的な考え方について書きました。

今回のブログは、市域内に住む住民の増加策、出生率の改善についての投稿です。

5.出生率の増加策と移住・定住者への魅力創出

高齢化による多死社会と人口減少社会がすでに確実に進行する中、地域の活力を維持するために、まずすぐにでも自治体が実施可能な対策は、人口の「自然減」に繋がっている『少子化』「社会減」に繋がっている若者の都市への流出をコントロールすることだ。つまり地域の若者が地元で働き、地元で結婚して子育てをするような環境を整備することしか地方の人口減を食い止める方策はないといっても過言ではない。

まず少子化の問題で出るのが『待機児童の解消』など、子供を預かる環境が整っていないから「生みたくても生めない」という意見。もちろん晩婚化や経済的理由、夫婦間の関係など様々な要因があるが、昔と比べてそれほど子育ての環境が悪化しているのだろうか?むしろ「仕事」と「子育て」が両立しにくく、子育てが妻一人の負担になっている状況の改善こそが必要だろう。

それは産休後の職場復帰や『イクメン』に代表される“夫の育児休暇取得”といった制度的な問題よりも、むしろ子育てが「孤独な環境で行われている」という母親の心理的影響も決して小さくない。高齢者の孤独死や犯罪防止なども含めて、近隣との人間関係を深め、コミュニティ形成に繋がるような住宅の形が欧米では研究され、共助が可能な住環境も登場している。

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Posted by cms_hiroshima at 10:00行政への提言

2019年03月15日

ひろしま都心活性化プラン(素案)への意見|4.交流人口・観光客の増加

平和記念公園と元安川
前回のブログでは「3.雇用創出と貨幣の地域循環」というタイトルで、都心部に増えている分譲マンション、タワーマンションに対する懸念を発信しました。やはり中心市街地で増殖している『コインパーキング』も、歯槽膿漏で歯が失われていく高齢者と同様、都市が高齢化状態を迎えていることを示しているのでしょう。私はコインパーキングを「都市の耕作放棄地」と呼んでいます。

今回は、インバウンドをはじめとした『観光』や『交流人口』についての提言です。

4.交流人口・観光客の増加

現在、広島市内の観光客は年間約1,200万人。
ここ数年、外国人観光客の伸びは飛躍的で、100万人に達した。一方でこれだけの観光客が来ながら、広島市内での一人当たり消費額は約18,000円程度であり、滞在型よりも「通過型観光地」になっている可能性が高く、少しでも滞在時間を伸ばすことが都心活性化プランにも求められる。それは単に宿泊施設の数ではなく、また街の景観や都市施設を充実させても、地域の外からの来街者の滞在理由に弱いことは、それぞれ自分の経験からも分かるだろう。そこにしかない『特別な来訪目的』が必要だ。

国際的・全国的なイベント(コンサートや競技大会ほか)やビジネス目的、グルメなど、宿泊を伴う目的が明確であれば滞在期間が延び、観光消費額も増えるだろう。しかし原爆ドームや平和記念公園といった「世界遺産」頼みの観光で、しかも観光バスや自家用車での来場であれば、観光地に最も近い駐車場を探し、駐車料金や駐車時間を気にしながらの観光にならざるを得ない。その結果「都心に観光バス用の駐車場が必要」という議論が出て、さらに滞在せずに短時間で移動する観光客を地元自らつくる”悪循環を生じさせることの認識が必要だ。

原爆ドームや平和記念公園が現状“最も集客力のある観光資源”であれば、駐車場から各施設への往復ではなく、平和大通りにLRTやBRTの停車駅等があり、行き先が分散されることが望ましい。回遊性が高ければ、袋町や並木通りなど地域色豊かな地元企業が出店している商業ゾーンに観光客の流入も増加が期待できる。

私たちがポーランドの「アウシュビッツ収容所」や沖縄の「ひめゆりの塔」など、戦争の悲劇の歴史遺産を体験した時の行動をイメージしても、それを払しょくできるだけの魅力ある施設や街が近くにない限り、出来るだけ早くそのエリアは立ち去ろうとするのではないだろうか?周辺の景観の美しさや大都市と比べて中途半端な都市の賑わい、交通アクセスの悪さは、観光客の滞在を延ばすまでの魅力につながらない。

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Posted by cms_hiroshima at 10:00行政への提言

2019年03月05日

ひろしま都心活性化プラン(素案)への意見|3.雇用創出と貨幣の地域循環(地域外流出の抑制)

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前回のブログでは、私が広島県と広島市に送った『ひろしま都心活性化プラン』への意見の「2.エネルギー収支の改善のために」を転載しました。公募意見として提出したとはいえ、全文が公開されるわけではなく、一部を切り取って「市民の意見」が紹介され、それに対して行政からのコメントが付くだけなので、ほとんどスルーされたも同然の「市民の意見を聞いたアリバイ」としての価値しか感じられません。

今回は、やはり自ら米国の住宅地を視察し、その住環境の豊かさと資産形成のメカニズムを現地の専門家に聞いた話から、地方都市でも可能な豊かさのヒントを3.としてまとめました。

画像は米国フロリダ州のオーランド郊外の新興住宅地『ボールドウィンパーク』の景観。私自身がデジカメで撮った写真です。実は20年前のこの場所は米軍基地で、写真の水辺の空間は当時アスファルト舗装された基地の駐車場だったところです。まるでゴルフ場をつくるように、価値の低かった土地を加工し、人工的に美しい理想郷をつくりだしているのです。

3.雇用創出と貨幣の地域循環(地域外流出の抑制)

米国が豊かなのは、旺盛な購買力・過大消費によって保たれており、その多くは借金によって国外から商品を購入している。経済が縮み人口減少が顕著な日本の地方都市が同じように消費によって地元民のお金が「県外に流出」すれば、地域の衰退は明らかだ。IT化によるビックデータの把握によってお金の流れを捕捉するなど、少なくとも統計データ化し実態と推移は継続的に把握しておきたい。結局お金の移動が“東京一極集中という人の移動”に繋がっている。

米国は住宅取得によって不動産の資産価値が上昇するのが政府や自治体の大きな役割であり、そのエクイティ(資産増加額)を担保に借り入れができるから、個人の購買力が増している。自治体にとっても固定資産税が増加し、住民自身によって不動産価値が高まる住環境の整備を自主的に行う好循環が出来ているから、米国の多くの住宅地が美しい景観を維持できているし中古流通も活発だ。それは、長期的な都心活性化プランにも入れるべき「目指す姿」でもあり、それによって空き家の減少や土地の有効利用、老朽化した家屋の更新などに繋がっていく。

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Posted by cms_hiroshima at 11:00行政への提言

2019年02月26日

ひろしま都心活性化プラン(素案)への意見|2.エネルギー収支の改善のために

ドイツフライブルグ市のトラム
前回の投稿は、広島県と広島市が共同提案している『ひろしま都心活性化プラン(素案)』に関して、まずは「現状認識と未来予測」ということで、自治体の認識を質しました。

今回は、自ら欧州の活力ある地方都市を視察して感じた「エネルギー収支」に関して、自分の意見としてまとめてみました。画像は、ドイツの南西部、スイスとフランスの国境に近い人口20万人強の地方都市フライブルク市の新しい住宅地「リーセルフェルド」を走るトラム(LRT)です。

2.エネルギー収支の改善のために

特に自治体が出来ることとしては、自動車通勤に掛かる化石燃料費の域外流出を出来るだけ削減すること。つまりは(1)通勤距離を短縮できる住宅政策、(2) 自動車通勤に頼らない公共交通機関の整備、(3)都心部への自動車流入を抑制するパーク&ライドや次世代モビリティ等のハード・ソフトの整備、(4)再生可能エネルギーや燃料電池車など脱エンジン推進、等によって自家用車の維持や移動・駐車に掛かる費用を家計や企業の負担から可能な限り削減し、市民・県民の可処分所得を増やせるような政策を実現させること。ただしレジャーの車利用は大歓迎だ。

その結果、都心部で貴重な資源である土地を、コインパーキングにすることなく、お店や事務所として利用することが可能となる。都心部のコインパーキングの増殖は、まさに『都市の耕作放棄地』であり、雇用の場を提供せず、店舗も出店できず、自治体にとっては法人税収入や固定資産税収入も都心に見合わないものしか得られず、さらにお店の連続を断ち切って、車の出入りによって歩行者の安全を脅かし、賑わいを削ぐ「空き地」でしかない。歯槽膿漏で歯が抜け落ちていく老人と同じ状態だ。

解決策は、都心部への車の流入を抑制し、もっと幼児から高齢者まで、家族連れが徒歩でも安全・安心して移動できる都心の公共交通網、歩道、歩行者専用道等の整備だろう。今の時代でさえ、ドローンによる配送やセグウェーなどの移動手段、ウーバー等やタクシー・自家用車の自動運転の急速な普及が見込まれている。

自家用車を都心に駐車させて駐車代金や時間を気にするような時代も過去のものになり、もっとゆっくりと楽しめる都心にしたい。そのためには「楕円形の都心内」は、低料金で自由に乗り降りできる安全で利便性の高い公共の交通手段を用意する必要があり、欧州で急速に普及しているLRTやBRT(バス高速輸送システム)などを、環状線・中央線・東西線のように主要幹線に縦横無尽に走るような交通体系も検討しなければならない。企業が契約する都心の月極駐車場も、その場所・費用はばかにならない。

もちろん都心活性化プランには明確に記載できないとしても、建物自体の断熱性能強化は、欧州のように『エネルギーパス(建物の燃費表示)』など、明確な指標で推進していく必要あり。

次回は『3.雇用創出と貨幣の地域循環(地域外流出の抑制)』に続きます。

  
Posted by cms_hiroshima at 14:00行政への提言

2019年02月24日

ひろしま都心活性化プラン(素案)への意見|1.現状認識と未来予測

広島市中央公園
前回まで『広島市立地適正化計画(骨子案)』への意見と私案を投稿していましたが、しばらくブログ更新の間が空いてしまいました。”立地適正化計画”とは、郊外に広がり過ぎた生活環境をコンパクトにし、インフラ投資や災害の危険性を抑制していこうという、国が音頭を取って各自治体が策定している計画です。

どちらかといえば「実質的な市域を狭める」という計画ですが、これには「都心部をどうするか」という視点が弱いため、広島市と広島県が連携し、独自に『ひろしま都心活性化プランというものを策定しようとしています。今回は、平成29年の初めに「素案」が公開され、意見公募が行われた時に、私が広島県に提出した意見を自分のブログで公開しておきます。提出は平成29年(2017年)2月なので、2年経過後の公開です。

1.現状認識と未来予測

21世紀に入っての15年間は、それ以前のバブル発生から20世紀末にかけての15年間と比べて社会の変化が加速度的になった。IT革命により、ドッグイヤーと呼ばれるほどネットの進展はすさまじく、また日本の超高齢化や人口減少、生産年齢人口の縮小や、経済のグローバル化から、移民急増による世界的な保護主義への移行など、これから訪れるであろう15年間はさらに激動の変化があることは容易に想像がつく。

そんな中で計画された30年後を想定した「ひろしま都心活性化プラン」を読んで、まずは統計データや様々な指標による分析や目標設定などは別にしても、大きな時代の変化を先取りし、ある程度の変化にも大きな影響を受けないような都市経営、市民の豊かさを構築しようという「気概」や「危機感」を感じることが出来ない。ほぼ現在すでに実現していることの延長線上でしか描かれていないように見受けられる。

米国に『アメリカ・ファースト』で自国利益を優先するトランプ大統領が登場した。グローバル経済で最も利益を享受しているはずの大国でさえ、貿易赤字を問題視し、自国の産業・雇用を守ろうと、貿易収支の改善を訴えている。


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Posted by cms_hiroshima at 17:00行政への提言

2019年01月17日

広島市立地適正化計画(骨子案)への私案|さいごに

広島平和大通り

広島市に送った私案の最後に、まとめとして個人の思いを以下のように書きました。

さいごに

今でも圧倒的な経済大国であり、人口が増え続けている米国でさえ、貿易赤字に苦しみ『アメリカファースト』を訴える候補が大統領に就任した。また一国と同等の経済力があり、人口も増えている東京都も、都知事が代表を務めた『都民ファースト』が、圧倒的な支持を集めて、既存政党の自民党は惨敗した。

地方都市であり、人口の減少や財政の悪化、そしてインフラへの投資を続けることが厳しい状況が確実な広島市が、地元に住む地主や中間層のお金の流出を出来るだけ防ぎ、資産価値が高まる方向へ舵を切る『ひろしまファースト』が、都市計画でも経済対策でも求められているのではないだろうか?生活がしやすく移動や住居に掛かる負担が少なく、緑が多くて自然が近い街には、移住してくる人々も、優秀な人材を求めて移転する企業も増えてくる可能性が高い。人の繋がりがある、コミュニティ活動が活発な場所では、出生率も高くなっている。

その意味で、ドッグイヤーと言われるほど急速に環境が変化し、『シンギュラリティ』と呼ばれる技術的特異点が、人工知能等によって大きく社会を変える時代を迎えることを踏まえて、もっと緻密に立地適正化計画を考えるべき時代になっているだろうと感じている。

バブルの頃、トヨタ自動車の拡販戦略を真似、販売チャネルを5つ整備し、限られた資源の分散化によって苦境に陥ったマツダは、住友銀行やフォードといった外部の資金と経営ノウハウを取り入れることで、比較的短期間で甦った。しかし、企業経営であれば大胆なリストラや損切り、経営陣の刷新なども可能で、新たな成長戦略も描けるが、都市の経営は今の意思決定が20年、30年、建物や風景は50年単位で持続し、簡単には変えられない。だからこそ私たちは『身の丈の経営』を広島市の経営計画・都市計画でも立案しなければならないと思う。

またこれだけ自然災害が増えている状況で、水害や土砂災害の危険のある地域では住宅建設を抑制し、将来的に『バッファゾーン』をつくったほうがいい。砂防ダムなど、災害防止対策に掛けるコストや遠い将来を考えた時、そこに人の生活がなく緑地や農園等であれば、人的被害は最小限に抑えられる

広島市の代表的なバッファゾーンの2つ平和大通り太田川放水路は、昭和になって整備され今は広島を特徴づける景観にもなっている。公民館などの公共の建物には『地下シェルター』や災害備蓄など、地域住民が緊急避難できる頑丈な施設も必要だろう。過度にプライバシーを重視した分譲マンションは自治会への参加率が低く、災害時を考えると米国のTNDのように“地域コミュニティの醸成”が出来るような住宅供給が求められる。

次回は、広島都心活性化プランに関して、広島市と広島県に送った意見をご紹介します。  
Posted by cms_hiroshima at 17:00街並み・住宅地

2019年01月15日

広島市立地適正化計画(骨子案)への私案|5.相続対策と空き家問題

空き家と土地活用

前回投稿した『4.市内に残る、遊休地、跡地利用』に続き、今日はテーマ5として、相続対策と空き家問題を取り上げました。急激な高度成長による土地価格の急上昇と、バブル崩壊による地価の下落を経験した日本は、今や土地は「不動産」ではなく『負動産』とまで言われるようになり、相続の際はお荷物にさえなりかねない状態になってきました。


テーマ:5相続対策と空き家問題

自治体にとって大きな問題になっている『空き家率増加』。
過去は変えられないものの、未来は今の意思決定で変えられると考えると、これからでも対策を考えないとさらに大変なこととなる。空き家率が増加している背景に、人口が減少しながら過剰ともいえる新築着工が続いているということが挙げられる。

”量の充足”から”質の向上”への転換は必要でもあり、長期優良住宅低炭素住宅ゼロエネルギーハウスなどの一定水準以上の品質、資産価値が維持できるようなロケーション、街並みを創造する住宅の新設はまだ不十分で、今後もニーズは続くだろう。しかし大きな問題は、コンパクトシティや立地適正化計画に逆行するような、
郊外に未だにアパート建築が建ち続けているということ。”行政の建築許可が出ない限り着工できない”建築物によって、周辺の空き家・空室を加速化させている。

特に税制改正になって、相続税の基礎控除が4割縮小され、『相続税対策』をビジネスチャンスとして営業活動を強化した大手ハウスメーカーの営業攻勢と、多額な紹介料・手数料によってその営業活動の応援団となってしまった税理士や地元金融機関によって、需要を超えるアパート建築が増加する要因になってしまった。実際には、相続税を支払わなくていい、対策が不要な人たちまでアパート建築をすることによって、手元の資金やアパートローン支払いだけでなく、将来の土地資産まで失わせるリスクを負わせてしまっている。

新築着工の総量規制等は出来ないとしても、立地適正化計画による「網掛け・線引き」で、建物の用途や居室の最低床面積等の規制・抑制は可能だろう。逆にそれをしなければ、外来種に浸食されるがごとく、郊外の田園風景もそこで代々受け継いできた地主の生活も崩壊していき兼ねない。アパートローンの急増は、金融庁やNHKでも指摘されている公知の社会問題だ。


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Posted by cms_hiroshima at 17:00行政への提言

2019年01月11日

広島市立地適正化計画(骨子案)への私案|4.市内に残る、遊休地、跡地利用

P1420507
前回投稿した『テーマ:3.郊外の誘導施設の設定に続き、今日はテーマ4として、広島市内に残る遊休地、跡地を取り上げました。画像はその中でも最も市民が関心を持ち、都心の賑わいに大きな影響を与えることが分かりながら10年近く放置されている『旧広島市民球場跡地』です。

テーマ−4:市内に残る遊休地・跡地利用

例えば三原市でシャープの工場が閉鎖され、従業員250名が福山工場に移動したケースは、広島県全体やシャープ自体には影響はなくても、従業員家族の転居や跡地利用は地元自治体にボディブローのような影響を及ぼす。東広島市のマイクロンテクノロジーの2500億円の投資も、当面撤退しないとの企業側の意思表示に地元自治体は歓迎の意を表明するが、現実的にはAIや自動化、省力化への投資であり、高度な技術者の雇用は本社採用が中心で、地元は雇用が増えるどころか非正規や契約社員、管理スタッフだけで足りるということになり兼ねない

楽々園官舎跡地広島市内でみれば、油谷重工(現コベルコ建機)の工場があった下祗園駅前や、佐伯区楽々園の官舎跡地(旧国有地)など広大な土地の売却や跡地利用が目白押しだ。ある程度通勤に便利で、住宅地に適していれば資本力のある(=高値でも入札に参加できる)大手マンションデベロッパーか大手ハウスメーカーが土地仕入れに走り、分譲マンションや「建築条件付き」の戸建て住宅が建設されている。

コンパクトシティ』や『立地適正化計画』という側面だけからみれば、郊外から近郊への居住空間の移動が実現でき、一定の人口密度が維持できるという評価も得られるかも知れない。しかし地域経済や住民の負担を考えると、そんな単純な話とはならない

それまで地域に継続的な雇用を生み、法人税や固定資産税も支払っていた工場跡地は、宅地造成によって上下水道や道路など、インフラ投資を地元自治体が負担し、土地加工をした費用に利益を上乗せされて周辺の土地価格を押し上げ、
地域の外から来た企業が多大な販売経費を上乗せした住宅を販売し、数年でそのお金(数十億円〜百億円超の住宅販売金額)を地域の外に持ち出していく

高く買えるところに土地を売るという、経済合理性だけで明確な都市ビジョン、地区詳細計画がなければ、落札した企業は周辺の環境よりも経済的利益を重視し、出来るだけ容積率いっぱいに土地を活用し、手間を掛けずに短期間に高く売却して、その後事務所の維持や人の雇用がないことが望ましいと考えるだろう。そのような企業は、ほとんどが大都市圏に本社を構える上場企業で、大都市に比べると相対的に安く感じる広島市内の土地を、地元の相場を知る地元企業では手の出ない価格で買い漁り、販売したお金もその利益で生じた法人税も、地元に落ちることはほとんどない。私が住むマンション群を分譲した大手不動産会社も支店を撤退した。

特に公有地の売却は、本来であればもっと安い価格で土地を購入し、地元の設計事務所や工務店・建設会社で安く住宅を手に入れられていたのに、わざわざ地元の人たちに多額な借金や高齢者の資産移転(住宅取得資金の生前贈与)をさせてまで、割高の住宅を買わせて、お金を地域外に流出させる手助けをしているといっても過言ではない。

区分所有のマンションは、大規模化するほど最終的には、維持・修繕や建替えは住民の5分の4の賛同を得るのが困難となり、また多大な販売経費を負担した戸建て住宅は、過大な住宅ローン返済によって、購入者の購買力を大きく低下させて、しかも実際の資産価値(=中古で売却する場合の市場価格)はローン残債を大きく下回り、資産の流動性や将来の生活の柔軟性まで奪ってしまう。また地価の高さは、福岡や岡山などの他の地方都市と比べた、都市の競争力も奪っている。

かなり厳しめの意見を提出しましたが、実際にはこのような状況を放置していることで、地方経済は停滞、衰退に向かい、そして地方の一等地、利便性の高い土地取引で大きな商いをした大都市圏の企業が、優秀な人材を地方から吸い集めて『東京一極集中』がさらに加速化しているのです。

立地適正化計画は、単に居住地域を集約し、将来の自治体財政を健全化するという「行政側の都合」だけでなく、都市経営を戦略的に活性化させるための、土地利用の最適化、地域経済の活力に結び付ける視点が大切です。  
Posted by cms_hiroshima at 17:00街並み・住宅地

2019年01月10日

広島市立地適正化計画(骨子案)への私案|3.郊外の誘導施設の設定

THEアウトレット広島
前回の投稿『テーマ−2:公共交通網の将来ビジョン再構築』に引き続き、3つめのテーマで書いた意見をご紹介します。

テーマ−3:郊外の誘導施設の設定

広島市の郊外、安佐南区の人口は23万人を超え、人口規模でいえば『中核市』の要件をクリアしている。現在欧州の地方都市でいえば、人口10万人程度の都市でも路面電車の整備が進み、人口20万人の都市で、公共交通網が整備された中小都市は、中心市街地が栄えている。それは日常の買い物だけではなく、勤務先や仕事帰りの盛り場、レクリエーションの場も中心市街地に集まっている。半径3Km程度に一定の中心市街地があれば、通勤の移動時間、移動コストも抑制され、都心の渋滞緩和にも繋がるだろう。

現在の日本のベッドタウンは、そこから都心への通勤を前提とした”単一用途”で”同質の住民の集合”となっている。生物も都市も「多様性」による新陳代謝、環境変化への柔軟性が生存の持続性に繋がっており、多様性のない街、住民の状態を変えていく必要があるだろう。

ニュータウンに入居したばかりの人々(広島では、祇園ニュータウン春日野、セントラルシティこころ、西風新都グリーンフォートそらの等)は購買力もあり、子供もいることから家族で郊外のショッピングモールに行き、買い物やレジャーを楽しんでいる。つまり車での移動でしか買い物ができない状態になっていても、それを楽しむ余裕がある世代だ。しかし20年もすれば子供たちは大学進学や就職で自宅を離れ、やがて定年を迎えて、ショッピングモールでの買い物の機会は減ってくる。

さらに後期高齢者になれば、車に乗ることも控え、ネット通販や宅配に頼るか、近所のコンビニ利用というのが、昭和の時代に分譲された郊外団地にすでにみられる現象で、それはそのままカーボンコピーされる可能性が高い。米国のアマゾンを始めとして、将来の小売流通業がどのように変遷していくか、今のところ不明ではあっても、そのような状況で郊外にある巨大なショッピングモールがそのまま出店維持できるとは思えない

すでに呉市や福山市でさえ、JR駅前の大型商業施設は売上が維持できず、県外の大手百貨店でさえ撤退して空きビルとなっている。その状態が、今後広島市の郊外で発生しないという確信は得られない。その段階で行政が打てる手がないのであれば、現状の延長線上での計画は見直さなくては、今の意思決定が将来大きな負の遺産をつくるだけだろう。

従って、通勤だけでなく買い物も含めて、一定の距離に商業集積やビジネス施設の集積を誘導し、起業・開業や正規雇用の働く場を提供できるような地区計画、誘導施設の設定が急務だ。

現在のような巨大な資本力を持つ県外の上場企業の進出を期待し、大型小売店舗の誘致や巨大物流施設・倉庫の誘致をしても、地元ではほぼ「非正規雇用」しか生まず、物流の大きなイノベーションが起こり、人口減少で売上が下がれば、簡単に撤退していくのはすでに他地域で起こっている現実だ。その跡地利用に悩まされるのは、誰か考えたほうがいい。

むしろそのような大企業に勤めた経験のある人や、ノウハウを持つ経営コンサルタント、元経営者などを指導者として登用し、地元主導で地域色豊かな店舗運営を目指したほうがいいだろう。首都圏で大きなプロジェクトに携わりUターン、Iターンしている人は少なくない。アストラムライン延伸に投じるお金は、新たに中心市街地をつくったほうがはるかに有効だろう。


『立地適正化計画』は、人口減少により、人が暮らす地域を少しずつ狭めていくよう誘導していく都市計画です。つまりダウンサイジングとかリストラクチャリングと同じく、戦略的な撤退や縮小を丁寧に進めることが欠かせず、シェアリングエコノミーのような新しい社会環境の変化や技術の進展も予測することが肝要です。  
Posted by cms_hiroshima at 17:00街並み・住宅地

2019年01月09日

広島市立地適正化計画(骨子案)への私案|2.公共交通網の将来ビジョン再構築

マイカー乗るまぁデー
昨日投稿した『テーマ−1:人口密度のコントロール』に続き、2は公共交通網に関しての提案です。

テーマ−2:公共交通網の将来ビジョン再構築

ショートウェイ・シティのコンセプトで重要視されるのは、日常的な通勤や移動の自動車利用をいかに最小化するかということ。そのためには単にマイカー乗るまいデー』といった特定日のマイカー抑制の標語や呼びかけではなく、車で移動するよりも経済的にも時間的にも公共交通機関利用のほうが、いかにメリットがある状態をつくっていくかが重要となる。

この機会に、公共交通網だけでなく道路網も含めた都市交通の将来ビジョンを再構築することが必要だと考える。なぜなら、すでに自動運転が実用化段階に入り、ネット通販などで増加したトラック便や宅配便が、ドローンほか配達手段の多様化や、宅配ボックスの普及、コンビニ受け取りなどに進化していくことは確実で、交通トラフィックがどのように変化していくか、将来予測が不可欠だ。

その予測を元に対応策を考えない限り、余計なインフラ投資や将来の維持管理の負担などが避けられず、財政が固定化していく懸念もある。人口減少と相まって、増え続けた交通トラフィックと渋滞は確実に緩和されるだろう。それを自然の成り行きに任せるのか、自立的にコントロールするかで、将来が大きく変わってくるのは間違いない。

郊外(=居住誘導地域)に関しては、現状「ベッドタウン」が多く、夜間人口と昼間人口のギャップが大きい。まずは地域ごとのコーホート分析を行えば、団地の高齢化と共に住民の高齢化も進み、通勤をしない高齢者の増加、若年層の流出、人口密度の低下や空き家の増加などが数字で裏付けられるだろう。

その予測の上で、バス路線やアストラムラインの延伸ほか、公共交通網の整備や、パーク&ライド用の用地取得などを計画しなければ、将来的に赤字路線が維持できなくなる懸念も生じる。バスのように運行ダイヤの見直しだけであれば、代替交通手段も考えられ、行政の負担は最小限で済むが、高架の建設や高額な車両の購入などの巨額なインフラ投資は、将来の維持管理まで見込まなければならない。しかし住民は”経済合理性と時間効率でしか交通機関・移動手段を選ばない”から、アストラムライン延伸は負の遺産になるリスクは決して小さくない。

ちなみに私は西風新都のAシティ在住だが、やはりアストラムラインの競合はバスや自家用車利用の「都市高速4号線」であり、最終目的地への移動時間と負担コストを比較して利用を選ぶ。西広島駅の乗り換えでのアストラムラインの競争力がどの層、どの立地にあるのか確かめたほうがいい。

現在Aシティやセントラルシティこころは、“乗り換えなしの直通”で、移動運賃400円前後、15〜20分で市内中心部に移動・通勤出来る。自家用車も同様だ。延伸されるアストラムラインがそれと同等の価格・時間内で移動できるとは考えられず、西風新都に住む住民として、現状では環状線としてループしても乗客は減る一方だと感じる。少なくとも延伸・開通する頃には、通勤・通学客は今よりもはるかに減少しているだろう。

さらに100年単位でみれば、路線が廃止されたJRの線路や鉄橋と同様、その時点で維持管理や撤去する経済力がその地域にあるかどうかも考えなければ、自治体の役目は果たせない。


続いて、この提案の解説です。

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Posted by cms_hiroshima at 17:00街並み・住宅地

2019年01月08日

広島市立地適正化計画(骨子案)への私案|1.人口密度のコントロール

シャッター通りになった商店街
『私案』として書いた「目指すべき姿はショートウェイ・シティ」の詳細説明を、5つのテーマに分けて広島市役所に提案しました。今回はその中の第一番目のテーマです。


テーマ−1:人口密度のコントロール

人口動態予測などからのコーホート分析や、ビッグデータなどを活用し、まずは現状の町丁別(自治会・町内会単位)の人口推移、世帯数、人口密度などを把握したい。生活密着型で地域の人が経営する地元商店が成り立つ人口密度が仮に120人/haだとすれば、その半数以下の地域では、車やバイクなどの移動手段を使わなければ買い物にも行けず、高齢化が進むと買い物難民が増えるリスクを抱える。

車で買い物に来る人たちを迎える食品スーパーや日用品のお店は、一定の広さの駐車場が必須となる。都心部に近い旧市内であれば、地価が決して安くない広島市内で、都市の”有限な資産”であるその土地は、広い駐車場が必要なことで住民が住むことも出来ず、雇用も発生しない低利用の土地活用になる。しかも人口密度も下げてしまい、地価負担能力を超えた商売も難しくなって、郊外に出来た超大型店との競争に敗れていくということが繰り返されてきた。

このような現象は、中心市街地の「商店街」が、本通り商店街を除いてシャッター街化したということだけでなく、空き店舗や老朽化した住宅などがコインパーキングなどの駐車場用途になってさらに人口密度の低下を招いていることと重なる。高齢者が、歯が抜け骨粗鬆症になるように、街自体も高齢化、スポンジ化が進んでいるのが現在の姿だ。そのために法律化された『中心市街地活性化法』や『都市計画法の改正(土地利用規制)』『大規模小売店舗立地法』の”まちづくり3法”が、十分生かされず状況は悪化する一方だったため、今回の『立地適正化計画』では、過去の延長線上ではない取り組みが求められる。

中心市街地以外の都市近郊の街、JR駅や広島電鉄の電停を中心とした駅近くの既成市街地では、生活密着型のサービス業は徒歩圏で成り立つくらいの人口密度、年齢構成を維持することが重要だ。それによって「移動に時間も費用も掛からず」「お金が地域外に流出しない」という居住環境が整備できる。地域住民にとっても経済的メリットが生じ、地元で働ける雇用者をつくって、地域外へ通勤する車の量を減らすことにも繋がってくる。どのような商売が、どのくらいの人口密度で成立するか、指標を示したい。

現在、都市近郊の既成市街地(=都市機能誘導区域)は、現状高齢化が進んで、通勤する人が減っている地域と、マンション建設などの共同住宅の増加によって、通勤や通学する人が増えている地域が”まだら模様”のようになっている。特に都心に近く新駅ができた居住一等地である中区基町で、公営住宅に入居する「通勤しない人々」の高齢化が進み、市にとって経済的価値が逓減するばかりか、生活保護や介護費用などの福祉予算まで割いて、収益が出ていない現状は、長期の都市ビジョン、立地適正化計画の中での将来構想を避けては通れないだろう。

各地域で実態把握をしたうえで、前出の通り一定の人口密度によって、通勤せずとも地域で起業や開業する事業者を増やし、世代交代が起こって地域が活性化するというシナリオも必要だ。統計データによれば、広島市中区でも空き家率が20%を超えているという。老朽化したマンションや公営住宅の空室は『限界マンション』とも呼ばれ、今後さらに深刻な状況になる。


第二番目の「公共交通網の将来ビジョン再構築」は、次回投稿します。
画像は、広島市の都心部の一等地、基町地区の公営住宅の一角にある商店街。すでにほとんどのテナントは撤退し、シャッター外になっていて、入居者も5割が65歳以上となっています。  
Posted by cms_hiroshima at 17:00街並み・住宅地

2019年01月07日

広島市立地適正化計画(骨子案)への意見−私案

ショートウェイシティ-ポートランド
立地適正化計画の目的は、人口減少や広がり過ぎた郊外へのスプロール化によって、すでに厳しくなっている自治体の財政を健全化する(インフラへの投資や維持費用の抑制)だけでなく、自然災害の増加や空き家問題などに対処するためには、出来るだけ通勤距離を短くし、郊外から近郊へ、近郊から都心部に居住地域を誘導することが、長期的に見た市民益にもつながるというコンセプトです。

そこで私案(若本案)として、”目指すべき姿は『ショートウェイシティ』”と題して、移動距離・移動時間・移動コストの負担の少ない都市構造にすべきだと、以下の提案をまとめました。


≪私案:目指すべき姿は『ショートウェイ・シティ』≫

国交省が主導する『広域連携型コンパクトシティ』や今回の『立地適正化計画』そして『スマートウェルネス計画』の目的は、少子高齢化や人口減少に直面する地方都市の再生や活性化であり、自治体だけが音頭を取るのではなく、実際に受益者となる住民や地元民間企業など、経済界も巻き込む必要がある。

現在計画されているコンパクトシティ等の計画は、人口の減少による税収入の減少や、すでに投資した公共インフラの維持の負担抑制など、将来の財源不足をカバーしようという”自治体側の都合”が強く出過ぎている。住民にとっては何のメリットがあり、自分たちの面倒や負担があるのかないのか、具体的に何をすればいいのかも明確ではないから、住民のリーダーとなる市議会議員でさえ重要性の理解や協力体制が見えない。

脱原発に大きく舵を切り、環境負荷の低減や省エネルギーに国や自治体だけでなく、住民を挙げて取り組むドイツの事情を伺うと、彼らには「コンパクトシティ」という言葉はなく、敢えて言うなら『ショートウェイ・シティ』に取り組んでいるという。つまり”移動の最小化”に取り組むことで、移動に掛かる燃料費の削減、交通インフラの効率化、住民負担の軽減が、結果的に建物を集住させて建物自体の省エネルギー化や地域冷暖房システムの事業性向上などに繋がり、住民が主体となって街が自律的にコンパクトに向かうようなインセンティブが働いている。その結果、固定的な家計支出が減り、収入が増えない時代でも生活にゆとりが生じる。

住民にとって、郊外の家や土地を売って市街地に移転・移動することの経済的メリットが明確になり、それを行政が担保し、何らかのインセンティブによって、これまでよりもいい生活だと実感できれば、自ずと他の人たちも同様な行動を取り始めるだろう。まずは「イノベーター」と呼ばれる最初に動く人たちや「アーリーアダプター」という周辺に影響を及ぼせる人たちの理解・共感を得るような計画・インセンティブの設計が重要ではないだろうか?

広島で考えれば、都心活性化プランの中にある『楕円形の都心づくり』というコンセプトでは全く不足であり、アストラムライン延伸計画などを含む”郊外から都心への通勤”を前提とする前近代的計画の焼き直しでは、逆に住宅地が地価の安い郊外に「拡散」するばかりだろう。


ちなみに、画像は米国オレゴン州ポートランドの市内のトラム。都心部へはトラムの乗車は無料で、中心市街地はほぼ徒歩で歩いても安全、街歩きが楽しめる全米でも「移住したい都市」の上位に入る地方都市です。  
Posted by cms_hiroshima at 17:00街並み・住宅地

2019年01月05日

広島市立地適正化計画(骨子案)への意見

広島市安佐南区の大規模団地
平成最後の年が明けました。
私は平成3年の10月に、それまで住んでいた東京都葛飾区から広島市安佐南区に移住し、一度の転居で現在のAシティに23年間住んでいます。この平成の30年間は、多くの自然災害にも見舞われましたが、自分の仕事柄、一言で平成の時代を言い表すと、『個人が取得した不動産の資産価値が縮小し続けた”失われた30年間”』だと感じます。その前のバブルの時代までは「土地神話」があり、不動産価値は右肩上がりだったのです。

今や不動産は『負動産』とさえ言われ、空き家の増加や耕作放棄地、所有者不明土地の急増など、特に高齢化が進む地方では、お荷物になってきました。すでに人口減少社会に突入し、以前のような郊外開発による「スプロール化」の時代ではなく『コンパクトシティ』が各自治体の政策に組み込まれるようになってきています。

そこで平成最後の年の投稿では、広島市がコンパクトシティ化に舵を切り、立案された『広島市立地適正化計画』ほか、地元行政が発表、意見公募している政策に関して、私が市や県に送った公募意見を個人ブログに転載していきます。あくまで私の経験や知識をもとにした提案ですが、広島市のホームページではその一部を咀嚼してしか紹介されていないため、テーマごとに全文を連載投稿していきます。

まずは、平成29年(2017年)に市に送った「骨子案」への意見の前文で、全体を俯瞰して個人の意見をまとめ、その後”私案”として5つのテーマで新たな街づくりを提案しました。ちなみに昨年(2018年)に、広島市都市計画審議会(都市整備局)と広島市総合計画審議会(企画総務局)の市民委員公募に応募して選出され、審議会でも直接意見をいえる立場になりました。

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Posted by cms_hiroshima at 17:00街並み・住宅地

2018年12月23日

今年最後のお引渡し

20181222_01
2018年最後のお引渡しは、廿日市市で土地購入からサポートしたK様ご家族。
お客様の声のサイト公開にもご協力いただき、完成時の模型もプレゼントしました。着工後の変更も反映させた100分の1縮尺の図面に忠実な建築模型です。

サイトで公開を了承いただいたお客様も102組目となりました。実際にはもっと数多くのサービス利用者がいらっしゃって、それぞれ満足のいく家づくりをされてお引渡ししましたが、引っ越し前後の忙しさや、仕事柄あまりホームページで家族の顔をさらしたくないといった方もいらっしゃいますので、任意でのご協力のお願いをしています。

それでも100組を超えるご家族が、わざわざアンケートに答え、これから家づくりをされる方たちに参考になればと、自分たちの経験を公開していただいています。是非2019年以降、家を建てる計画のある方は、先輩施主の声を参考にしてください。

https://cms-hiroshima.com/reason/102/
  
Posted by cms_hiroshima at 11:22お引渡し

2018年11月29日

賃貸マンション建設ラッシュの行く先

賃貸マンションの立地
今年も残すところ1か月余りとなり、TVでは『今年の流行語大賞』の候補が発表されるような時期です。今年を振り返ってみると、7月の西日本豪雨は忘れることができないものの、住宅関係でいえば『かぼちゃの馬車』をはじめとして、賃貸住宅投資熱が社会的問題にまで広がった年として、記憶に刻まれます。

画像は、広島市の郊外で目にした完成間近の賃貸マンション。新しい開発地ですが、敷地のすべてが道路に囲まれ、しかも事実上一方通行での車の進入です。建築中の仮囲いを見たときには、私はこの開発団地の給水施設など、機械装置を格納する公的な構造物だと思っていました。

しかし、ご覧の通り5階建ての賃貸マンションが完成し、入居者を募集しています。今の建築費が高騰している時に、鉄筋コンクリートの賃貸マンションを建てると、家賃に跳ね返りますが、この立地条件でそれほどの家賃負担をする人が、実際にこの物件を見学し、車で建物を後にしようとした時に、毎日の車での外出がスムーズにいかないことに気づき、入居を決断できないのではないかと感じました。

これだけの建物を建てれば、数億円の投資で、この状況から先祖代々から受け継いでいる実質無料の土地とも思えません。貸し部屋の入居率が悪ければ、当然収入よりも銀行返済のほうが上回りそうな物件です。それでも「相続”税”対策」として、金融機関や税理士さんなどに勧められて、現金を不動産に変えることでの資産圧縮効果が優先されたのでしょうか・・・?

数年前の税制改正によって、相続税が発生する資産家のすそ野が増え、多大な相続税負担の計算に怯えて、アパマン投資をする人たちが後を絶ちませんが、基本的に賃貸経営をする前に優先すべき「相続対策」がいくつもあります。「税対策」以前に、それまで築いてきた資産をどのように家族に残していくのか、多少税金を払っても、その資産形成に繋がった地域社会にも少し還元する気持ちで、争いも将来の過大な負担も生じない、スムーズな相続、安心できる不動産投資をしていただきたいですね!

当社は、『貸家経営診断士』の資格と併せて、外部に相続に明るい優秀な専門家がいるので、お気軽に相談してください。相談先の判断基準として「この人が仮に嘘や不正直だったら、どれだけの契約が出来るのか?」をイメージしてみることです。特に短期間・接触回数が少なくて、金額が大きければ、大きな損失を被る可能性も潜んでいます。スルガ銀行のような世間で優良だと評価されている金融機関でさえ、大きな社会問題になったのが不動産投資、賃貸経営です。
  
Posted by cms_hiroshima at 15:11業界よもやま話

2018年10月13日

アイランドキッチンのプランニング

アイランドキッチンを回る子供たち

少しブログの更新が滞っていましたが、この間2軒のお引渡しを終えました。画像は広島市南区でお引渡ししたA様邸です。

当社に最初に相談に来られたのは2017年2月末。資料請求はそれから半年以上遡りますが、ようやく土地を見つけたものの、その土地で自分たちがイメージするようなおうちが敷地内に収まるのか?そして建築予算がどの程度になるのか?さらに土地を仲介した不動産業者が紹介する建築業者では不安もあるということから、ご要望をお聞きし、プランを作成して、入札を行ったのが平成29年の4月でした。
 
子供たちが家中を走り回り、キッチンや水回りもぐるりと回れると、家事動線も動きやすいということから、何度もプランをやり直し、ようやく納得のいく家が出来ました。画像はお引渡しの日に大喜びして走り回る子供たちです。お母さんはキッチンメーカーのスタッフの使用説明を受けています。

このような『アイランドキッチン』で、両脇に通路を確保しようとすると、キッチンの幅が例えば2550でも横幅4.5m(2間半)の空間が必要となります。東西に配置するのか、南北で設計するのか、いずれにしても間取りや構造に制約条件が出てきます。

ご主人が「自分たちはとっても満足していますが、注文住宅を建てて自分たちの要望通りにお願いすることがどれほど大変なことか、同じプロセスを知り合いにも経験してもらうのは、正直相手にも覚悟が必要だと感じました」と、正直な感想を頂きました。それほど、オリジナルな間取り、特注の造り付け家具まで丁寧に要望に応えていくと、施主自身もずっと家づくりのことで頭がいっぱい、お休みも家づくりの打合せでつぶしてしまうような状況にも陥ります。

でも実際に完成し、お引渡しを迎えて子供たちがテンション高く、自由に家を走り回っている様子を見ると、ご主人も目尻が下がり、私たちもほほえましい気持ちになりました。「家づくりは3回建てないと満足できない」と言われていますが、そのようなことができない現状で、これからも満足度の高い家づくりのサポートを心掛けていきたいと思います。  
Posted by cms_hiroshima at 16:03お引渡し

2018年09月05日

入居後1年経過したお客様訪問

入居者インタビュー_27

記録的な猛暑だった今年の夏も、ようやく涼しさが感じられるようになりました。ご報告が遅くなりましたが、まだ猛暑が始まったばかりの6月末、去年の5月にお引渡しした広島市西区のK様のお住まいを取材訪問させていただきました。

新居で生まれた赤ちゃんも、断熱性能が高く静かな室内で元気に育っていました。取材後に身内に不幸があったり、あの西日本豪雨災害などが重なり、記事にしてお客様の了解を得るまでに時間が経った上に、こちらのブログでの紹介も、さらに気づけば9月の声を聴いていました。

お引渡し時に頂いた『お客様の声』では100番目、入居者インタビューでは27組目の取材記事にOKを頂きました。入居後一年を過ごして、家の性能や生活のしやすさ、工務店の対応などがさらによく分かります。

今回は、K様邸を担当した旭ホームズの1年点検に合わせて訪問したので、営業担当の名藤氏も一緒にご家族と記念撮影しました。快適にお過ごしの様子を以下のインタビューURLでご確認下さい。

https://cms-hiroshima.com/interview/27/
  
Posted by cms_hiroshima at 15:00家族と住まい

2018年08月17日

ツリーハウスが増えています!

ツリーハウス

今年のお盆休みは、妻の両親の初盆・49日の法要などがあり、実家の周防大島でゆっくりと過ごしました。この間、島内では帰省中の2歳の子供が行方不明となり、全国のニュースでも放送されていました。

誕生日を迎えたばかりの2歳の男の子は、大分から来たスーパーボランティアのおじいちゃんに救出され、これまたこのおじいちゃん(尾畠春夫さん)の20年間のボランティア活動がユニークかつ凄い人生だったため、人物にもスポットが当てられて、周防大島が有名になりました。

周防大島は平成の大合併により4町(大島町,久賀町,橘町,東和町)が合併して発足しており、今回の行方不明と救出劇は、旧大島町の家房という町でした。7月の豪雨災害で一部道路が寸断されており、妻の実家は家房から遠いので足は延ばさず、近くながらほとんど訪れることのない周防灘(四国)側の集落に足を延ばしてみました。

そこには本土(広島湾)側しか見て暮らしたことがない私にとって、別の島に来たのかというような風景がありました。数多くのログハウスやコテージがあり、画像のようにツリーハウスも建っていました。

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Posted by cms_hiroshima at 15:00業界よもやま話

2018年08月03日

公営住宅の建て替えと地域の活性化

基町県営・市営アパート
8月1日の地元紙、中国新聞朝刊に『基町中層棟建替え方針 子育て世代25%目標』というタイトルの記事が掲載されていました。

紙面によると、サッカースタジアム建設の候補地の一つとして浮上している『中央公園自由・芝生広場』案に対して、地元の住民代表が建設反対を表明したため、地域活性化案を示すことで住民理解を求める方針へと転換した結果が、この”素案”だということ。
 
しかし今や、自治体が自ら建設費を負担して「市営アパート」を建設し、低所得者層を自治体が”選別”して、その人たちが住むエリアを集約する時代ではありません。
 
むしろ民間開発で、あるべき魅力的な都市づくりに誘導しながら、供給する住戸数の2割程度に”社会住宅”として、低所得層も同じ地域で暮らせる環境を整備させ、その人たちの所得に応じて、家賃補助をするというのが欧米では一般的な政策です。

仮に、今の基町の市営アパートに収容しきれないほどの低所得者層が市内に数多くいるのであれば、都心近郊で利用されていない公有地に、同様な政策で良好な住環境をつくるような民間主導の街づくりの誘導をして、2割を「社会住宅」にすればいいのです。
 
そこには、今回の豪雨災害で被災した人たちに対しても、避難生活や応急仮設住宅から移転して生活支援するなど、都心移住にも寄与出来ます。例えば、広島西空港跡地のほかまだ計画が正式決定していない、企画段階の遊休地・低未利用地は数多く存在します。
 
広島の都心の一等地に、低所得者層を選別して集め、そこに住む賃貸人の人たちに遠慮して、まだ建設が決まってもいないサッカー競技場誘致の地ならしとして、場当たり的に「地域活性化策」として新たに市営アパートの建設を提示するのは、納税負担をしている多くの広島市民への背任ではないかと感じます。

今回の豪雨災害からの復興も含め、もっと長期ビジョンに立って、都市の活性化や街づくりを願いたいですね!  
Posted by cms_hiroshima at 15:00時代を読む