北米視察のレポートの一部として、コラムを書いたのでご紹介します。
▼日本の住宅業界では今、中古住宅のリフォームやリノベーションが脚光を浴びているという。私が住宅リフォームのFCチェーン本部に入社したおよそ20年前も「リフォームの時代」と言われ、これから日本も本格的なリフォーム需要が大きくなると言われ続けてきた。
しかし一方で、まもなくお引渡しする二世帯住宅の施主は、15年前に大手ハウスメーカーで建てたプレハブ住宅には愛着がないため、隣の実家の敷地に木造で快適な二世帯住宅を建てたいと相談され、その鉄骨住宅は事務所として利用するという。耐久性は問題ないのにも関わらず、愛着がわかずに使われない住宅が日本では増え続けている。
▼日本の中古住宅の市場は、交通や利便施設などの「立地条件」がその不動産の価値を決める。極端に言えば、現地に行ってみなくても、地図上で駅や学校、病院、商業施設を確かめられれば、不動産価格が想定できてしまう。中古の建物は、ほとんど資産価値は認められず、耐震性能や省エネ性能などもほとんど期待されていない。きちんとした検査や評価がされないまま、内装や設備、外部仕上など表面的にきれいにして「リノベーション」したと売り出される。
▼一方北米では「中古住宅」とは呼ばれず「既存住宅」と呼び、しっかりとインスペクション(建築検査)を行うことで、建物の性能や品質も再評価される。それ以上に重要視されるのが、その住宅が建っているロケーション。交通や買い物の利便性はもちろんだが、街の景観や雰囲気、建物自体のデザイン、そして建物の中から見える景色も購入者にとっては重要な要素だ。そこに住んで「毎日眺めても飽きない景観」が、家の価値を大きく左右する。それは、日本の中古住宅のように、立地では決して決められない。
続きを読む
Posted by cms_hiroshima at
16:16
│
Comments(0)
│
TrackBack(0)