2014年08月26日

バッファーゾーン(緩衝帯)で災害を緩和するという発想。

LRTと市民農園によるグリーンベルトと住宅地ここ数日はどうしても災害関連の投稿になってしまいますが、今回発生した広島の土石流災害に関して、少し突拍子もないかも知れませんが「私案」を書いてみます。それが『バッファーゾーン』という考え方です。

広島の方は、原爆ドーム周辺の景観を守るための「バッファーゾーン」というのを耳にしたことがあるかも知れません。急激な変化の衝撃(景観や自然の猛威、公害など)を和らげるための「緩衝地帯」のことです。

防風林として植えられた海岸沿いの松原や、神社のまわりに植えられた鎮守の森なども、潮風や台風などを和らげる役目を果たしてきました。単に「防護する」という機能だけでなく、そこに住む人々にとっての「故郷の景色」として刻まれることで、皆に愛され維持・手入れされて来たのが『白砂青松の松原』であり『鎮守の森』でした。

東日本大震災で「奇跡の一本松」として知れ渡った陸前高田市の海岸線も、白砂青松の松原として有名でした。

恐らく過去数百年の歴史の中で、大きな災害に見舞われ、その記憶と復興、自然の猛威を和らげながら、地元に住む人々が「美しい」と思えるように『バッファゾーン』をつくったのが、今のような形で残ったのではないでしょうか?
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Posted by cms_hiroshima at 17:46Comments(0)TrackBack(0)

2014年08月23日

団地開発と自然の猛威

安佐南区八木土砂災害遠景前回のブログを書いた8月19日の夜、私が住む広島市安佐南区の自宅周辺では午後9時前後から激しい落雷と断続的な雨が降りました。朝目が覚めてテレビニュースを見ると、安佐南区の八木、山本、安佐北区の可部や三入など、土砂災害で大変なことになっていました。

奇しくも高台の団地開発の危険性と、避難や人命を守るためのアイディアを書いた翌日に起こった激甚災害です。

東北の高台移転や防潮堤などに対する『持続可能性』への疑問を投げ掛けていましたが、まさか私の住んでいる広島市安佐南区内で、これほどの災害が起こるとは予想もしていませんでした。前回の画像の山すそでも多くの土砂災害が出ています。
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2014年08月19日

高台の住宅地開発の将来像は・・・?

広島の郊外団地お盆休みの最終日、天気も良くなったので、自宅近所の山に登り、開発が進む広島の高台の宅地開発を上から眺めてみました。

私の住む広島市は、平野部の少ないデルタ地形の街なので、戦後の人口増で高台が削り取られ、写真の通り今でも高台の宅地開発が続いています。古い団地は入居開始から40年を超え、高齢化や空き家、バス路線の廃止など、過疎地と同じようなコミュニティ存続の危機的状況を迎えています。

東北の復興で高台移転が進んでいます。しかし新交通システムが整備され、豊富なバス路線と、百万人を超える政令指定都市の財政力や不動産の流動性(=マーケット規模と購買力等)を持ってしても、郊外団地の衰退を止める「有効」な解決策は今のところ見つけられていません。

三陸海岸を中心とした東北の復興は、巨大な「防潮堤」と住宅の「高台移転」、移動手段としての「鉄道の復興」や新たな「道路整備」などが進んでいますが、好条件の揃っていた1980年代の広島の高台の宅地開発でさえこの状況で、かの地では10年後でさえ見通せないのではないかと感じてしまいます。

震災後の3年間、世界に誇る日本の財政力と情報収集力、知恵、技術力を結集して、土地所有者の問題を解決して進む政府挙げての復興計画も、目先の仮設住宅からの住民移転しか考えておらず、20年後の地域の姿、住民生活を想定した地区計画は「将来地元の人たちが考えるよ!」というのであれば、あまりにもお粗末な復興計画です。
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Posted by cms_hiroshima at 17:23Comments(0)TrackBack(0)

2014年08月12日

平屋と二階建て、どっちが安いの?

当社入口看板世間は夏季休暇に入った会社も多いのですが、当社はお休みに相談に来られる方が多いので、今日も営業中。午前中のお客さんの相談対応していて「ご要望や敷地条件から考えると、二階建てを前提とせず平屋も検討されませんか?」と質問してみました。

土地が60坪を超え、第二種住居地域の建蔽率60%の立地です。ご主人は五十代で二人の子供たちはすでに独立して基本的に夫婦二人の暮らしです。地元広島の高校を卒業後、首都圏の大学に行き勤務先もずっと東京。5年前に父親が要介護状態になって、毎月奥さんが介護のために実家のある広島に戻っていたそうです。

今年お父さんが亡くなり、夫婦ともに広島出身なので、将来を考えると古い実家を建て替えて、老後の生活も視野に入れようとご相談にお越しになりました。そこで要望をお聞きすると「子供たちも一緒に住む予定がないので、将来を考えるとエレベーター設置も視野に入れています」と、二階建て住宅が前提となっていました。

首都圏の住宅展示場でまず話を聞いたところ「平屋は高くなりますから、やめておいたほうがいい」とハウスメーカーの営業マンに言われたということ。もちろん価格面も重要でしょうが、実際の生活も考えてシニアになった夫婦二人だけが住む家で、二階建てが必要かどうか、冷静な判断が必要です。

このブログでは経済面中心に少し解説してみますね。
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Posted by cms_hiroshima at 14:24Comments(0)TrackBack(0)

2014年08月06日

屋根形状が街並みに与える影響

街並みと屋根形状今、多くの人々が海外旅行を楽しむようになり、特にヨーロッパの街並みなどを見て「私もこんな美しい街に住みたい!」と感じる人は少なくないでしょう。エーゲ海やフランスのプロバンス地方、ドイツのロマンティック街道沿いなど、古い街で建物も老朽化しているのにも関わらず、町全体が『絵画』のような美しさを維持しています。

画像は広島市郊外の新しい住宅地。広告のコピーは『ハウスメーカーの個性豊かな最新モデルハウス23邸公開中!』という、技術立国日本が誇る住宅メーカーが最新技術と流行のデザインを生かして新しい街並みが出来ていますが、ヨーロッパやアメリカの街並みのような美しさや調和は残念ながら感じられません。

一番大きな要因は”屋根形状と屋根の色・素材がバラバラ”だということが大きいのだろうというのが私の見立てです。欧米の街並みは、個人が建てる家であっても街並みは「共有財産」として、屋根形状や外壁に使われる材料など統一感のある「ストリートスケープ」をつくります。電柱も表通りには出さず、街路樹で緑を演出し、街全体が魅力的に資産価値が高まる(=将来高く売れる)ように、開発業者が家づくりのルールを定め、調和ある街並みを形成しています。

日本の住宅地は、まるで「私服で自由に集まって下さい!」と集められた集団で、統率もなくアイデンティティも感じられません。各々がバラバラでまとまりがないから、集団としても魅力がないグループに感じてしまいます。

一方、欧米の住宅地は「フォーマルなファッションで集まって下さい!」と呼びかけて集まってきたグループで、それぞれがオシャレで個性を生かしていながら、全体としてまとまりがあり、集団としてのアイデンティティ、行動にも一定の規律を感じさせます。決して囚人服や学生服のように、無個性で皆が同じ(=日本の従来の建売住宅)というものではなく、それぞれは違うデザイン、アクセサリー、髪型であっても、フォーマルなルールがあるから、全体がオシャレな集団に見られそれぞれの個性を殺しあうこともありません。

だからこそ、欧米の住宅地は街全体が古くなっていっても、価値自体は劣化せず、時を経ることで味わいのある住空間、住環境が熟成されるのです。時を重ねた美しさが、新しい住宅では決してつくれない価値を生むのです。

さらに、このような街づくりをするほうが、建築コストはもちろん安くなり、エネルギーのロスは少なくなって、将来高く売却できるということを、欧米の人たちは知っています。日本の住宅業界が自社の利益や他社との差別化ばかりを考えず、購入者の利益と地域の風景をつくることに価値を見出せば、もっと日本の街並みは美しく変わるでしょう。  
Posted by cms_hiroshima at 18:32Comments(0)TrackBack(0)