昨日は雑誌
『建築知識』のことを書きました。
今日もちょっと専門的になりますが御容赦ください。m(_ _)m
今、勉強熱心な施主の中で
『分離発注方式』に関心を持つ人が増えているようです。
工事の請負をしない設計事務所を中心として、
「建築工事に元請は不要!」
とシュピレッヒコールをして、
『ピュアCM方式』なる分離発注を進めています。
※CMとはコンストラクション・マネジメントの略です。
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先頃からプランを煮詰めていたお客様と、本日、基本業務のお申込みをいただきました。建物の基本計画はほぼ固まったものの、これからコストとデザインのバランスを考えていかなければなりません。
「アイランド型のパーティキッチンもいいけど、高くつくでしょう・・・」
キッチンメーカーのショールームやカタログを見ると、ふざけているくらい高いものがあります。一般の施主はため息が出ます。
「コストを下げようとしたら、特注という方法があります。」
そんなことを言っても施主は
「特注にしたら高くつくでしょう!?」と思うでしょう。
既製品を使い慣れている住宅業界のプロ達もそう思い込んでいます。
でも・・・
住宅でも「注文」だから高くつくとは限りません。
注文だからこそ、優先順位を決めて安くつくることも可能です。
私の社会人のスタートは、店舗の設計施工の仕事でした。
東京支店の「営業部」という配属でしたが、『現場監督兼営業』です。
店舗の仕事というのは、住宅のように、毎回ゼロから見込み客を探して契約まで持っていく『専任の営業マン』というのは不要です。
チェーンストアの経営者や建設部、ショップオーナーなどから
「次はどこそこに出店予定だからヨロシク!」という仕事のほうが多いのです。
求められているのは、営業的なテクニックではなく、プロの商売人を納得させる「集客装置」を
より安く、短納期で収める能力と機動力です。
店舗の仕事はまさに
『分離発注』です。
建築の設計事務所がやっているような、施主にリスクを被せるようなものではありません。発注者もプロで商売人なのですから。
私に言わせれば・・・
あんな発注方法が『ピュアCM』で分離発注なの・・・!?
言ってしまった・・・!(-_-;)
皆さんが百貨店に行った時、例えば宝飾店のガラスのショーケースなどを見るでしょう。眼鏡屋さんの陳列ケースなども同じです。
店舗の設計施工というのは、店舗の内外装ももちろんのこと、ショーケースも分離発注で製作します。
「元請を通さず、直接家具屋に発注するから分離発注だ!コストが透明だ!」って?
ふざけちゃイケマセン!
自宅に帰って、昔の懐かしい資料を引っぱり出しました。
ショーケースをつくるのに、
什器(店舗用家具のことを「じゅうき」といいます)図面だけでは正確なものが出来ません。
例えばこんな感じでした・・・
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
▼木製の部分は江戸川区の「坂上木工」に手配し、ガラスは台東区の「松原ガラス」、ショーケース内の照明器具は「マックスレイ」のものを手配し、葛飾区の「日東電工」に配線してもらう。
▼ガラスはR(曲面)になっているので、原寸図を描き、レールなどの金物は特注金物の「日邦工芸」に同じ原寸図を持参してクロームメッキ仕上げをしてもらう。
▼塗装はパール入りのウレタン塗装なので、目黒区の「小野塗装」の職人に「坂上木工」の家具工場まで出向いてもらい、吹き付けてもらう。
▼引出しや扉の蝶番類やつまみは、「スガツネ」かかっぱ橋の道具屋街にある「吉田金物」まで買い付けて、収まりを指示する。
▼商品を陳列する天板は、下地をハイミロンかベルビアンシート張りにするのでクロス屋の「東商」さんに貼ってもらい、陳列する小物は、一部石を使ったり、アクリルの台も必要なので、「日東樹脂」に手配しなければ・・・
▼搬入は、午後8時の閉店以降だから、荒川区の「川田運送」に搬入の指示をして、大工の「岩本組」に岩本さんと早乙女さん2人に現場に入ってもらおう・・・
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
これが、私たちが手掛けていた『分離発注』です。
オープンに間に合わせるためには徹夜もいといません。
自分で家具の図面を描き、各業者さんと工場まで出向いて打合せし、現場で墨出しをして下地や不陸などを確認しているので、
発注者として全責任を負って各協力業者さんを動かします。
自分で、引出し(専門的には「抽斗」と書きます)の1杯づつから、塗装やガラスの価格まで拾い出して見積するので、どうしたら安く出来るか把握して
いますイヤ...いました。
(もう、現役を離れて長くなりますが・・・)
このように、分離発注を本気でしようと思ったら、
とても施主が設計事務所のサポートを得ながら出来るものではありません。(と私は思います)
設計事務所の人でも、現場や加工方法まで精通していなければ、ショーケース1台だってまともなものが完成しないかも知れません。
本当に
元請なしの『分離発注』でコストが安く品質の確かなものを、しっかりとつくれるのでしょうか?
本来、
設計者は施工者に理解できる図面をきちんと描いて、
施工者が「分離発注」と「現場管理」をしっかりするという
『業務の棲み分け』が出来ていたはずです。
設計料だけでは足りないから、施工側が担うべき『分離発注』の業務を取り上げ、満足に発注も管理もできないまま、施主にその負担(経済的・精神的)を負わせて、責任逃れしているだけではないでしょうか・・・?
私は設計事務所の『分離発注』の話を聞くたびに、そう思います。
でも、今月も2件
「御社のサービス(=
『住宅CMサービス広島』)
と『Oシステム』がやっているCMとどう違うのですか?」という質問が届きました。(-_-;)
本当のCM(コンストラクション・マネジメント)については、またの機会に!
ちょっと長くなりました。
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