2010年06月26日

世界の注目を集めるコンパクトシティ

ヴォーバン住宅地の街並み無事日本に帰国しましたが、最終日に視察したフライブルク市の住宅地『ヴォーバン』をご紹介しないわけにはいかないので、報告しておきますね。
この日もフライブルク在住の環境ジャーナリスト、村上敦さんの案内でホテルのあるフライブルク駅から路面電車に乗り、少し郊外型の『ヴォーバン住宅地』に向かいました。
こちらは既に住宅地だった38haの郊外の街を1997年から開発を行い、見事に環境共生型の団地が出来上がっていました。

広島で走っているものとほぼ同じ低床の路面電車が開通したのが2006年。元々生えていた樹齢100年を超える菩提樹を残しながら、4〜5階建ての集合住宅を何十棟も建てています。
写真のように路面電車の軌道部分にも芝生を植え、地下に雨水を貯水することで、ヒートアイランド現象を抑え、また継ぎ目のない線路によって、ガタンゴトンという音もない静かな電車が緑の中を走っていく景観は、比較的緑の多い広島でも見られない光景です。

街全体の7割が建設コストを抑えるために「コーポラティブ方式」(住民が共同で組合をつくり、ゼネコンやマンションディベロッパーを通さずに直接設計者や施工者に発注する方法)で建てられたそうで、集合住宅のひとつを見学させていただきました。

この建物を設計したドイツ人建築家の案内です。


駐車スペースに置かれたカーシェアリングの車この地域は戸建て住宅はなく、駐車場も邸別には用意されていません。広い共用の駐車スペースを設け、多くの人は「カーシェアリング」を利用し、環境負荷を与えない暮らし方をしています。
今回見学させていただいた建物は、この地域にはめずらしく勾配のないフラットな屋根でしたが、フラットな屋根をした場合には、屋上緑化かソーラー発電の搭載が義務付けられているということで、こちらの屋上にはソーラー発電が設置されていました。

コーポラテブ住宅屋上から見たヴォーバン夏は35度、冬は氷点下10度にもなるこの地域で、暖房器具がほとんどいらない『パッシブハウス』仕様のこの住宅では、断熱材の厚みが35cm、熱損失係数Q値は0.7〜0.8W/m2Kという性能で、1年間の光熱費(冬の1月ではなく12ヶ月!!)が日本円で3万円程度というから驚きです。
その他にも、換気システムや自家発電、雨水・下水道処理、共有の洗濯場所など、住民参加のコーポラティブならではの、建築家のアイディアを取り入れた設備にも驚かされました。

ドイツ人建築家と記念撮影この建物を設計したドイツ人建築家の誇らしげな説明と、それを翻訳して私たちに分かりやすく解説してくれたコーディネーターの村上さんのお陰で、書籍では得られない貴重な情報と体験を得ることが出来ました。

日本のように、注文の戸建て住宅が中心の生活では決して気づかない経済的メリットや安全性、合理的な発想で、1992年対比CO2を40%削減しようと計画しているこの地域は、住民の快適性や経済成長を犠牲にすることなく、知恵と技術によって解決しようとしていることに深い感銘を受けました。私たちももっと知恵を絞り、大きな課題を解決したいですね。
右の写真は、村上さんやドイツ人建築家と一緒にツアーのメンバーで記念撮影です。

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