2014年07月29日

大手の家は誰が建てているの?

積水ハウス責任施工梅雨も明け、本格的な暑さがやってきましたが、テレビでは上海の食品加工工場での「使用期限切れ食肉の再加工」が大きなニュースになっています。

日本マクドナルドやファミリーマートなど、日本の大手チェーンが仕入れていたチキンナゲットなどの食材の中に、この工場で加工されていた食肉が出荷されていたということから、「大手だから安心」という神話が揺らいだといっても過言ではありません。

画像は住宅業界の最大手『積水ハウス』の工事現場に設置された看板。大きく「積水ハウスは、積水ハウスが施工する」と約束のメッセージが表示されています。あえて[直接責任施工]積水ハウスまで付け加えて、ご近所の皆さんにも宣言していて、好印象を与えます。

では、実際にハウスメーカーの社員やその子会社の技術者が、この現場の作業を行い品質管理まで行っているのかといえば、実態は地元の工務店、作業員、職人さんたちが現場で汗を流しています。この看板の並びに実際に施工を依頼している業者の名前と責任者まで明示(公開)しているので、誰でも見ることが出来ます。


積水ハウス工事用看板この工事用看板を見ると、外構工事を除いて子会社の積和建設を通じて(中抜きさせて)、下請けの工務店や建設会社に実際の施工を任せていることが分かります。公道に面して立てている看板なので、堂々と開示していることは「隠す必要はない」と判断していると考えられますが、「どうせ見ても分からないだろう」と高をくくっているのかも知れません。

食品のように直接口から摂取し、すぐに健康被害につながるものであれば、人は品質に敏感になります。高くても大手や国産品を選ぶのは、消費者の自己防衛です。

一方、住宅は無事完成さえすれば、実際に誰が現場作業しようとあまり気にならないかも知れません。大手の保証もあり、大手に頼んで「相応の負担」をしたという満足感や安心感、ステータスを感じる人もいるでしょう。しかし、品質や安全以前に、この看板で書かれていること自体、私には「偽装」に思えます。宣言した約束を果たしていないことを自ら並べて表示しているのです。

もちろん、積水ハウスと積和建設という間接部門が大きな会社は、工事原価以外に大きな「一般管理費」が必要なので、お客様からお預かりした工事代金の中で、2社の経費が含まれていることは小さくはないでしょう。そしてその費用を引いて発注される工事原価で実際に作業する地元の下請け企業は、お客様の顔や要望が分からないまま、表に出ることも許されず、大量生産の歯車として労働を提供しているのです。

施主の希望を直接お聞きしながら、家族の顔を思い浮かべて、自分たちの技術を発揮して高いモチベーションを持った元請の地元工務店がつくる家と比べて、どちらが喜んでもらえるような住宅を提供しようと努力しているか、想像に難くありません。

もちろん大手ハウスメーカーの協力企業も、様々な技術研修や施工マニュアルを提供され、メーカーが要望する施工レベルの維持は必至ですが、この看板を出している時点で、本質よりも体面や企業イメージを最優先していることを感じさせます。下請けの問題ではなく、元請企業の姿勢の問題です。

このような状況は一企業を批判するのではなく、業界全体の問題として、一般市民が生命保険まで掛けて一生に一度の大きな負担をし、信頼して任せてもらうのが住宅業界だということを再認識してもらいたいと思います。食品以上に、家族の健康や生命、財産に大きな影響を与え、大きな責任を負うのが私たちの仕事です。

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