2014年08月12日

平屋と二階建て、どっちが安いの?

当社入口看板世間は夏季休暇に入った会社も多いのですが、当社はお休みに相談に来られる方が多いので、今日も営業中。午前中のお客さんの相談対応していて「ご要望や敷地条件から考えると、二階建てを前提とせず平屋も検討されませんか?」と質問してみました。

土地が60坪を超え、第二種住居地域の建蔽率60%の立地です。ご主人は五十代で二人の子供たちはすでに独立して基本的に夫婦二人の暮らしです。地元広島の高校を卒業後、首都圏の大学に行き勤務先もずっと東京。5年前に父親が要介護状態になって、毎月奥さんが介護のために実家のある広島に戻っていたそうです。

今年お父さんが亡くなり、夫婦ともに広島出身なので、将来を考えると古い実家を建て替えて、老後の生活も視野に入れようとご相談にお越しになりました。そこで要望をお聞きすると「子供たちも一緒に住む予定がないので、将来を考えるとエレベーター設置も視野に入れています」と、二階建て住宅が前提となっていました。

首都圏の住宅展示場でまず話を聞いたところ「平屋は高くなりますから、やめておいたほうがいい」とハウスメーカーの営業マンに言われたということ。もちろん価格面も重要でしょうが、実際の生活も考えてシニアになった夫婦二人だけが住む家で、二階建てが必要かどうか、冷静な判断が必要です。

このブログでは経済面中心に少し解説してみますね。

まず、仮に土地が60坪で建蔽率が60%だったら、平屋で36坪の家を建てることが可能です。マンションと同様に階段のないフラットな部屋で36坪あったら4人家族でも十分の広さです。

平屋が「坪単価計算」すると割高になるのは、1.基礎がほぼ倍の大きさになることと、2.屋根もほぼ倍の大きさになること、の2点が大きいと考えられます。

実際に建坪18坪(=二階建てで36坪)程度の住宅で、基礎工事は100万円前後です。また屋根も素材によりますが50万円前後でしょう。(ただし雨どいは屋根形状で大きく変わり、寄棟だと総延長が長くなります)

基礎と屋根が2倍になったら、単純に概算で150万円のアップです。

逆に下がる部分を考えたいと思いますが、その前に本当に居住スペースで36坪の平屋が、二階建てにしても36坪で済むかを考える必要があります。

同じ「居室面積」を確保した場合、二階建てでは階段スペース+ほぼ必要となる2階トイレと階段ホール(廊下)が居室面積にプラスされ、床面積の増加要因です。平屋で必要な玄関ホールや廊下の面積が、ほぼ上階にも必要になるため、少なくとも3〜4坪は広くなければ同じ居住スペース、個室やLDKを確保できません。

建物の設備機器を除く坪単価が、仮に40万円だとしても、4坪増加すれば160万円。この時点で、平屋と二階建ての金額はほぼ同じです。2階にトイレを設置すると、衛生機器と設備配管、建具や備品等で30〜40万円はアップするでしょう。

また構造材を考えると、二階建てのほうが上階に荷重がかかる分、梁成を太くするなど、小屋組みの構造材の量の差を相殺します。サッシは平屋の36坪を半分に切って二階に重ねることをイメージすると、切った部分両面の外部サッシや断熱材、外壁材分が必要となり、二階建てのほうが数量が増えるでしょう。断熱材は屋根か天井の増加分を考えると、大きな差はないかも知れません。

入居後に大きいのが、二階建ての場合は外壁の塗装や雨どいの取り換えなど、ほぼ足場を組まないとメンテナンスもできません。その足場代がバカになりませんが、自分のものになる訳でもありません。平屋の場合は脚立で施工できるので、メンテナンスコストは抑えられます。また将来エレベータの設置も必要なく、上下階の温度差や移動がないため、高齢者になった時に楽なのが平屋です。

しかし平屋を建てる人は「広い土地」を持っていることが前提となるため、営業マンにとっては『富裕層(=金持ち)』と考えて見積が高くなりがちです。また建物の好みと相対的にお金を持っている高齢者世帯が平屋を検討することが多いことも、見積が高まる要因だろうと想像します。そして和風のいい材料を要求される方が多いのも平屋です。だから「高いですよ!」というのでしょう。

3千万円の建築予算のある人に「うちは2千万円もあれば十分です!」という営業マンも工務店社長もいないのが現実ですから・・・。

画像の看板は、当社事務所が入居している雑居ビルの一階入り口に設置している店内誘導看板。当初は『注文住宅の建築コストはもっと安くなる!』という売りにしていましたが、このところ建築費は高まる一方で、施主の求める要望や性能も高くなっています。

大手ハウスメーカーに比べれば、固定費負担も少なく商談の労働生産性も高いため、今でも2割程度の価格差(メーカーが2,500万円であれば500万円程度安い)はありますが、以前のように1,600万円で注文住宅を手に入れるという「まだまだ安くなる」という状況ではなくなりました。

看板は、事務所移転も検討していたため、新しく更新せず、足元もプラスチックが劣化してきました。そろそろ「安くなる!」というキャッチコピーは下ろす時期かも知れませんが、平屋の事例にみるとおり「客観的な情報」と「比較可能な複数の判断材料」を提供することで、価格交渉をすることも、安い工法を選ぶことも可能です。

直接売り手に相談すれば、予算の上限が前提となり、安くするアイディアがあっても「安くするインセンティブ」が働かないので、高くなるというのが現実です。特に平屋の住宅は顕著ですね!

だから私たちの存在意義があるのです♪

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Posted by cms_hiroshima at 14:24│Comments(0)