2019年01月11日

広島市立地適正化計画(骨子案)への私案|4.市内に残る、遊休地、跡地利用

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前回投稿した『テーマ:3.郊外の誘導施設の設定に続き、今日はテーマ4として、広島市内に残る遊休地、跡地を取り上げました。画像はその中でも最も市民が関心を持ち、都心の賑わいに大きな影響を与えることが分かりながら10年近く放置されている『旧広島市民球場跡地』です。

テーマ−4:市内に残る遊休地・跡地利用

例えば三原市でシャープの工場が閉鎖され、従業員250名が福山工場に移動したケースは、広島県全体やシャープ自体には影響はなくても、従業員家族の転居や跡地利用は地元自治体にボディブローのような影響を及ぼす。東広島市のマイクロンテクノロジーの2500億円の投資も、当面撤退しないとの企業側の意思表示に地元自治体は歓迎の意を表明するが、現実的にはAIや自動化、省力化への投資であり、高度な技術者の雇用は本社採用が中心で、地元は雇用が増えるどころか非正規や契約社員、管理スタッフだけで足りるということになり兼ねない

楽々園官舎跡地広島市内でみれば、油谷重工(現コベルコ建機)の工場があった下祗園駅前や、佐伯区楽々園の官舎跡地(旧国有地)など広大な土地の売却や跡地利用が目白押しだ。ある程度通勤に便利で、住宅地に適していれば資本力のある(=高値でも入札に参加できる)大手マンションデベロッパーか大手ハウスメーカーが土地仕入れに走り、分譲マンションや「建築条件付き」の戸建て住宅が建設されている。

コンパクトシティ』や『立地適正化計画』という側面だけからみれば、郊外から近郊への居住空間の移動が実現でき、一定の人口密度が維持できるという評価も得られるかも知れない。しかし地域経済や住民の負担を考えると、そんな単純な話とはならない

それまで地域に継続的な雇用を生み、法人税や固定資産税も支払っていた工場跡地は、宅地造成によって上下水道や道路など、インフラ投資を地元自治体が負担し、土地加工をした費用に利益を上乗せされて周辺の土地価格を押し上げ、地域の外から来た企業が多大な販売経費を上乗せした住宅を販売し、数年でそのお金(数十億円〜百億円超の住宅販売金額)を地域の外に持ち出していく

高く買えるところに土地を売るという、経済合理性だけで明確な都市ビジョン、地区詳細計画がなければ、落札した企業は周辺の環境よりも経済的利益を重視し、出来るだけ容積率いっぱいに土地を活用し、手間を掛けずに短期間に高く売却して、その後事務所の維持や人の雇用がないことが望ましいと考えるだろう。そのような企業は、ほとんどが大都市圏に本社を構える上場企業で、大都市に比べると相対的に安く感じる広島市内の土地を、地元の相場を知る地元企業では手の出ない価格で買い漁り、販売したお金もその利益で生じた法人税も、地元に落ちることはほとんどない。私が住むマンション群を分譲した大手不動産会社も支店を撤退した。

特に公有地の売却は、本来であればもっと安い価格で土地を購入し、地元の設計事務所や工務店・建設会社で安く住宅を手に入れられていたのに、わざわざ地元の人たちに多額な借金や高齢者の資産移転(住宅取得資金の生前贈与)をさせてまで、割高の住宅を買わせて、お金を地域外に流出させる手助けをしているといっても過言ではない。

区分所有のマンションは、大規模化するほど最終的には、維持・修繕や建替えは住民の5分の4の賛同を得るのが困難となり、また多大な販売経費を負担した戸建て住宅は、過大な住宅ローン返済によって、購入者の購買力を大きく低下させて、しかも実際の資産価値(=中古で売却する場合の市場価格)はローン残債を大きく下回り、資産の流動性や将来の生活の柔軟性まで奪ってしまう。また地価の高さは、福岡や岡山などの他の地方都市と比べた、都市の競争力も奪っている。

かなり厳しめの意見を提出しましたが、実際にはこのような状況を放置していることで、地方経済は停滞、衰退に向かい、そして地方の一等地、利便性の高い土地取引で大きな商いをした大都市圏の企業が、優秀な人材を地方から吸い集めて『東京一極集中』がさらに加速化しているのです。

立地適正化計画は、単に居住地域を集約し、将来の自治体財政を健全化するという「行政側の都合」だけでなく、都市経営を戦略的に活性化させるための、土地利用の最適化、地域経済の活力に結び付ける視点が大切です。
第二弾!
家づくりで後悔しないための「優秀営業マンを見分ける5つの質問」
Posted by cms_hiroshima at 17:00