2019年03月25日

ひろしま都心活性化プラン(素案)への意見|6.土地需要の減退と地価推移予測

郊外のショッピングモール

前回のブログでは「5.出生率の増加策と移住・定住者への魅力の創出」というタイトルで、人口減少を抑制するために”この町に住みたい”と感じてもらえるような街づくりについて書きました。関連するテーマで、今回は土地の需要に関して書いていきます。

6.土地需要の減退と地価推移予測

経済のグローバル化が進み、またネット社会の進展が加速化すれば、高度成長期の都市の膨張により郊外立地から市街地に飲み込まれていった工場や物流拠点、そして大規模小売店舗などは、より「地価が安く」そして「労働賃金の低い」「交通アクセスが便利な」地域に移動していくのは必然だろう。残された工場跡地、物流センターの敷地は、仮にそのまま広大な敷地を別の用途として利用しても、雇用はほとんど「非正規労働」で「低賃金」しか見込めない。

コンビニと駐車場また都市近郊の鉱工業(町工場)や商業が混在した地域では、企業の事業規模縮小や統廃合、郊外や海外移転など、今後土地需要は減退していくばかりではないだろうか。それでも過去15年間は巨大な工場跡地などに、広い駐車場を有する大型ショッピングセンターや複合施設が進出し、中小規模の土地にも家電量販店や食品スーパー、ドラッグストア、ホームセンターなどの中規模店舗が定期借地で出店してきた。

しかし無店舗販売のネット通販が増加し、人口減少や賃金の横這い、家じゅうモノがあふれて物品購入以外の消費が増える中、借地契約の更新時に、賃料の減額交渉や再更新しないお店も増えている。ガソリンスタンドも街中から消える中、それらの空き店舗・空き地の需要を埋めてきたコンビニエンスストアや携帯ショップなども、オーバーストア状態になって来た。すでに都心に残る数々の公有地でさえ跡地利用が二転三転するような土地余り状態が続いている。高過ぎるか大き過ぎるのだろう。

そんな状況に加えて、高齢化した土地オーナーの相続の発生も急増し、相続人が地元にいないケースも増えて、所有権は分散、土地利用は迷走して結局、賃貸マンション建築などに活用されて“周辺の空き家をさらに増加させる結果”になっている。土地や親の家はお荷物にしかならないという、30年前には考えられない状況を、将来の30年の計画にどう反映させていくのか、十分に練った都心活性化プランで土地利用をもっと流動化・効率化・活性化させたい。

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Posted by cms_hiroshima at 17:30

2019年03月19日

ひろしま都心活性化プラン(素案)への意見|5.出生率の増加策と移住・定住者への魅力創出

広島市民病院から望む広島城址
前回のブログでは「4.交流人口・観光客の増加」というタイトルで、外部から流入する人々が魅力ある都市としてリピート訪問してもらうための基本的な考え方について書きました。

今回のブログは、市域内に住む住民の増加策、出生率の改善についての投稿です。

5.出生率の増加策と移住・定住者への魅力創出

高齢化による多死社会と人口減少社会がすでに確実に進行する中、地域の活力を維持するために、まずすぐにでも自治体が実施可能な対策は、人口の「自然減」に繋がっている『少子化』「社会減」に繋がっている若者の都市への流出をコントロールすることだ。つまり地域の若者が地元で働き、地元で結婚して子育てをするような環境を整備することしか地方の人口減を食い止める方策はないといっても過言ではない。

まず少子化の問題で出るのが『待機児童の解消』など、子供を預かる環境が整っていないから「生みたくても生めない」という意見。もちろん晩婚化や経済的理由、夫婦間の関係など様々な要因があるが、昔と比べてそれほど子育ての環境が悪化しているのだろうか?むしろ「仕事」と「子育て」が両立しにくく、子育てが妻一人の負担になっている状況の改善こそが必要だろう。

それは産休後の職場復帰や『イクメン』に代表される“夫の育児休暇取得”といった制度的な問題よりも、むしろ子育てが「孤独な環境で行われている」という母親の心理的影響も決して小さくない。高齢者の孤独死や犯罪防止なども含めて、近隣との人間関係を深め、コミュニティ形成に繋がるような住宅の形が欧米では研究され、共助が可能な住環境も登場している。

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Posted by cms_hiroshima at 10:00

2019年03月15日

ひろしま都心活性化プラン(素案)への意見|4.交流人口・観光客の増加

平和記念公園と元安川
前回のブログでは「3.雇用創出と貨幣の地域循環」というタイトルで、都心部に増えている分譲マンション、タワーマンションに対する懸念を発信しました。やはり中心市街地で増殖している『コインパーキング』も、歯槽膿漏で歯が失われていく高齢者と同様、都市が高齢化状態を迎えていることを示しているのでしょう。私はコインパーキングを「都市の耕作放棄地」と呼んでいます。

今回は、インバウンドをはじめとした『観光』や『交流人口』についての提言です。

4.交流人口・観光客の増加

現在、広島市内の観光客は年間約1,200万人。
ここ数年、外国人観光客の伸びは飛躍的で、100万人に達した。一方でこれだけの観光客が来ながら、広島市内での一人当たり消費額は約18,000円程度であり、滞在型よりも「通過型観光地」になっている可能性が高く、少しでも滞在時間を伸ばすことが都心活性化プランにも求められる。それは単に宿泊施設の数ではなく、また街の景観や都市施設を充実させても、地域の外からの来街者の滞在理由に弱いことは、それぞれ自分の経験からも分かるだろう。そこにしかない『特別な来訪目的』が必要だ。

国際的・全国的なイベント(コンサートや競技大会ほか)やビジネス目的、グルメなど、宿泊を伴う目的が明確であれば滞在期間が延び、観光消費額も増えるだろう。しかし原爆ドームや平和記念公園といった「世界遺産」頼みの観光で、しかも観光バスや自家用車での来場であれば、観光地に最も近い駐車場を探し、駐車料金や駐車時間を気にしながらの観光にならざるを得ない。その結果「都心に観光バス用の駐車場が必要」という議論が出て、さらに滞在せずに短時間で移動する観光客を地元自らつくる”悪循環を生じさせることの認識が必要だ。

原爆ドームや平和記念公園が現状“最も集客力のある観光資源”であれば、駐車場から各施設への往復ではなく、平和大通りにLRTやBRTの停車駅等があり、行き先が分散されることが望ましい。回遊性が高ければ、袋町や並木通りなど地域色豊かな地元企業が出店している商業ゾーンに観光客の流入も増加が期待できる。

私たちがポーランドの「アウシュビッツ収容所」や沖縄の「ひめゆりの塔」など、戦争の悲劇の歴史遺産を体験した時の行動をイメージしても、それを払しょくできるだけの魅力ある施設や街が近くにない限り、出来るだけ早くそのエリアは立ち去ろうとするのではないだろうか?周辺の景観の美しさや大都市と比べて中途半端な都市の賑わい、交通アクセスの悪さは、観光客の滞在を延ばすまでの魅力につながらない。

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Posted by cms_hiroshima at 10:00

2019年02月26日

ひろしま都心活性化プラン(素案)への意見|2.エネルギー収支の改善のために

ドイツフライブルグ市のトラム
前回の投稿は、広島県と広島市が共同提案している『ひろしま都心活性化プラン(素案)』に関して、まずは「現状認識と未来予測」ということで、自治体の認識を質しました。

今回は、自ら欧州の活力ある地方都市を視察して感じた「エネルギー収支」に関して、自分の意見としてまとめてみました。画像は、ドイツの南西部、スイスとフランスの国境に近い人口20万人強の地方都市フライブルク市の新しい住宅地「リーセルフェルド」を走るトラム(LRT)です。

2.エネルギー収支の改善のために

特に自治体が出来ることとしては、自動車通勤に掛かる化石燃料費の域外流出を出来るだけ削減すること。つまりは(1)通勤距離を短縮できる住宅政策、(2) 自動車通勤に頼らない公共交通機関の整備、(3)都心部への自動車流入を抑制するパーク&ライドや次世代モビリティ等のハード・ソフトの整備、(4)再生可能エネルギーや燃料電池車など脱エンジン推進、等によって自家用車の維持や移動・駐車に掛かる費用を家計や企業の負担から可能な限り削減し、市民・県民の可処分所得を増やせるような政策を実現させること。ただしレジャーの車利用は大歓迎だ。

その結果、都心部で貴重な資源である土地を、コインパーキングにすることなく、お店や事務所として利用することが可能となる。都心部のコインパーキングの増殖は、まさに『都市の耕作放棄地』であり、雇用の場を提供せず、店舗も出店できず、自治体にとっては法人税収入や固定資産税収入も都心に見合わないものしか得られず、さらにお店の連続を断ち切って、車の出入りによって歩行者の安全を脅かし、賑わいを削ぐ「空き地」でしかない。歯槽膿漏で歯が抜け落ちていく老人と同じ状態だ。

解決策は、都心部への車の流入を抑制し、もっと幼児から高齢者まで、家族連れが徒歩でも安全・安心して移動できる都心の公共交通網、歩道、歩行者専用道等の整備だろう。今の時代でさえ、ドローンによる配送やセグウェーなどの移動手段、ウーバー等やタクシー・自家用車の自動運転の急速な普及が見込まれている。

自家用車を都心に駐車させて駐車代金や時間を気にするような時代も過去のものになり、もっとゆっくりと楽しめる都心にしたい。そのためには「楕円形の都心内」は、低料金で自由に乗り降りできる安全で利便性の高い公共の交通手段を用意する必要があり、欧州で急速に普及しているLRTやBRT(バス高速輸送システム)などを、環状線・中央線・東西線のように主要幹線に縦横無尽に走るような交通体系も検討しなければならない。企業が契約する都心の月極駐車場も、その場所・費用はばかにならない。

もちろん都心活性化プランには明確に記載できないとしても、建物自体の断熱性能強化は、欧州のように『エネルギーパス(建物の燃費表示)』など、明確な指標で推進していく必要あり。

次回は『3.雇用創出と貨幣の地域循環(地域外流出の抑制)』に続きます。

  
Posted by cms_hiroshima at 14:00

2019年02月24日

ひろしま都心活性化プラン(素案)への意見|1.現状認識と未来予測

広島市中央公園
前回まで『広島市立地適正化計画(骨子案)』への意見と私案を投稿していましたが、しばらくブログ更新の間が空いてしまいました。”立地適正化計画”とは、郊外に広がり過ぎた生活環境をコンパクトにし、インフラ投資や災害の危険性を抑制していこうという、国が音頭を取って各自治体が策定している計画です。

どちらかといえば「実質的な市域を狭める」という計画ですが、これには「都心部をどうするか」という視点が弱いため、広島市と広島県が連携し、独自に『ひろしま都心活性化プランというものを策定しようとしています。今回は、平成29年の初めに「素案」が公開され、意見公募が行われた時に、私が広島県に提出した意見を自分のブログで公開しておきます。提出は平成29年(2017年)2月なので、2年経過後の公開です。

1.現状認識と未来予測

21世紀に入っての15年間は、それ以前のバブル発生から20世紀末にかけての15年間と比べて社会の変化が加速度的になった。IT革命により、ドッグイヤーと呼ばれるほどネットの進展はすさまじく、また日本の超高齢化や人口減少、生産年齢人口の縮小や、経済のグローバル化から、移民急増による世界的な保護主義への移行など、これから訪れるであろう15年間はさらに激動の変化があることは容易に想像がつく。

そんな中で計画された30年後を想定した「ひろしま都心活性化プラン」を読んで、まずは統計データや様々な指標による分析や目標設定などは別にしても、大きな時代の変化を先取りし、ある程度の変化にも大きな影響を受けないような都市経営、市民の豊かさを構築しようという「気概」や「危機感」を感じることが出来ない。ほぼ現在すでに実現していることの延長線上でしか描かれていないように見受けられる。

米国に『アメリカ・ファースト』で自国利益を優先するトランプ大統領が登場した。グローバル経済で最も利益を享受しているはずの大国でさえ、貿易赤字を問題視し、自国の産業・雇用を守ろうと、貿易収支の改善を訴えている。


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Posted by cms_hiroshima at 17:00