昨年末、新潟県糸魚川市で発生した大火災は、古い木造密集地での火災の危険性を再確認する大災害になりました。つい先日、22年目の黙とうを捧げた「阪神淡路大震災」でも、地震による圧死だけでなく、その後に発生した火災によって多くの命が失われました。
糸魚川の火災は、駅前の商店街で『準防火地域』という耐火性能の高い住宅が求められていたようです。しかし鉄筋コンクリートの建物でさえ、窓ガラスから入ってきた猛火で室内は延焼、強風にあおられて次々と類焼していきました。しかし奇跡的に燃えることなく、焼け野原にたった1軒だけ残った住宅は、特別に耐火仕様で造った木造住宅だったのです。
画像は、現在工事中の現場のコンセントボックス。省令準耐火仕様として鋼製(通常はプラスチック)で、仮に火が侵入しても壁の中を走らないよう耐火パテで延焼を防止しています。壁の下地を石膏ボードで防火としていても、コンセントやスイッチが溶けて壁内部を火が上昇すると、火に勢いがついてしまいます。今では、そのまま天井に火が抜けていかないよう『ファイヤーストップ』という材料で火の回りを抑え込みますが、昔の建物は火災も、床下からの冷たい風も、壁内部を通り抜けていました。
ちなみに画像の左側に見える「筋交い」金物は、熊本地震のような大きな揺れがあった時も、ダイレクトにビス(ねじ)に力が掛かるのではなく、少し歪んで緩衝することで揺れの力を分散させる筋交いプレートです。
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