2017年10月20日

軒の機能と耐候性

軒のない家
日本では住宅は”差別化商品”となってきていて、他社といかに違う素材、デザイン、性能を競うかで、お客さんの関心を引き、競争を避けて自社を選んでもらうかに時間とお金を費やしています。

画像の建物は、たまたま街歩きをしていた時に見つけた住宅で、誰が設計したとかは不明ですが、”流行りのデザイン”を重視した結果、軒先の無い、窓の小さな「箱形の建物」になっています。住宅雑誌などでもこのようなデザインの住宅が紹介され、団地内でも見掛けるようになってきました。

すぐに気付きますが、軒(ひさし)の形状に合わせて、外壁の汚れが目立ちます。せっかくオシャレでかっこいいデザインを目指したのでしょうが、室内で飾るオブジェと違い、住宅は外部に面して風雪から紫外線、地震力などの厳しい自然環境にさらされ、劣化もしていきます。

新築時に、写真に収めて「かっこいい!」というだけでは、その後のメンテナンス費用や見た目も”想定外”になっていくリスクは否めません。特に流行りのデザインは、必ず将来の”流行り廃り”で陳腐化していきます。その点、欧米の住宅は、ハードもソフトも、そしてデザインも建築費さえも『資産価値が持続する』ことを最優先に、プロがしのぎを削っています。
 
そこには「差別化」という発想よりも『標準化・規格化・単純化』の中に、30年後も人々から愛されるデザインを採用しているように感じます。
 
街歩きをしていても、いろいろと感じることがありますね!  

Posted by cms_hiroshima at 15:36Comments(0)