広島市に送った私案の最後に、まとめとして個人の思いを以下のように書きました。
さいごに
次回は、広島都心活性化プランに関して、広島市と広島県に送った意見をご紹介します。今でも圧倒的な経済大国であり、人口が増え続けている米国でさえ、貿易赤字に苦しみ『アメリカファースト』を訴える候補が大統領に就任した。また一国と同等の経済力があり、人口も増えている東京都も、都知事が代表を務めた『都民ファースト』が、圧倒的な支持を集めて、既存政党の自民党は惨敗した。
地方都市であり、人口の減少や財政の悪化、そしてインフラへの投資を続けることが厳しい状況が確実な広島市が、地元に住む地主や中間層のお金の流出を出来るだけ防ぎ、資産価値が高まる方向へ舵を切る『ひろしまファースト』が、都市計画でも経済対策でも求められているのではないだろうか?生活がしやすく移動や住居に掛かる負担が少なく、緑が多くて自然が近い街には、移住してくる人々も、優秀な人材を求めて移転する企業も増えてくる可能性が高い。人の繋がりがある、コミュニティ活動が活発な場所では、出生率も高くなっている。
その意味で、ドッグイヤーと言われるほど急速に環境が変化し、『シンギュラリティ』と呼ばれる技術的特異点が、人工知能等によって大きく社会を変える時代を迎えることを踏まえて、もっと緻密に立地適正化計画を考えるべき時代になっているだろうと感じている。
バブルの頃、トヨタ自動車の拡販戦略を真似、販売チャネルを5つ整備し、限られた資源の分散化によって苦境に陥ったマツダは、住友銀行やフォードといった外部の資金と経営ノウハウを取り入れることで、比較的短期間で甦った。しかし、企業経営であれば大胆なリストラや損切り、経営陣の刷新なども可能で、新たな成長戦略も描けるが、都市の経営は今の意思決定が20年、30年、建物や風景は50年単位で持続し、簡単には変えられない。だからこそ私たちは『身の丈の経営』を広島市の経営計画・都市計画でも立案しなければならないと思う。またこれだけ自然災害が増えている状況で、水害や土砂災害の危険のある地域では住宅建設を抑制し、将来的に『バッファゾーン』をつくったほうがいい。砂防ダムなど、災害防止対策に掛けるコストや遠い将来を考えた時、そこに人の生活がなく緑地や農園等であれば、人的被害は最小限に抑えられる。
広島市の代表的なバッファゾーンの2つ平和大通りと太田川放水路は、昭和になって整備され今は広島を特徴づける景観にもなっている。公民館などの公共の建物には『地下シェルター』や災害備蓄など、地域住民が緊急避難できる頑丈な施設も必要だろう。過度にプライバシーを重視した分譲マンションは自治会への参加率が低く、災害時を考えると米国のTNDのように“地域コミュニティの醸成”が出来るような住宅供給が求められる。