2005年07月21日

新聞社からの取材

昨日、地元の中国新聞社の取材を受けました。
毎週土曜日に入る『ハウジングNews』に紹介されるそうです。

テーマは『住クリエイター』
これまでの掲載事例を見ていると、劇的ビフォーアフターと同様、建築士(自分たちは「建築家」といっている)ばかりの紹介コーナーのようです。

「私は作品づくりを目指す建築家とは対極ですが、いいんですか?」

ライターと名刺交換した早々、そんな疑問をぶつけました。
でも、やはり私が運営しているサービスを下調べしているらしく、「消費者の家づくりの参考になる取り組みならOKです」という回答です。

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1時間あまり、資料を交えながらこれまでの事例を話しました。

これまで、このコーナーに紹介された建築士たちは、どのようなデザイン、空間を自分たちがつくったのか、つまり『アウトプット』を重視していました。
極端に言えば、写真にして「目を引く」住宅です。

私は「どのような家が出来上がるかという『アウトプット』よりも、どのような『プロセス』で家を建てるのか、『住宅業界の非効率なプロセスを替えようとしている!』」というような話をしました。

ライターと話をしているともっと分かりやすい事例がありました。
それは・・・

印刷や広告業界の話です。

そのライターさんも、多くの設計者に取材に行き、
「どうも建築家は、自分たちの業界のグラフィックデザイナーに似ているな」
と感じたようです。

印刷業界で全国に知られた存在は、大日本印刷や凸版印刷です。
住宅で言えば、積水ハウスやダイワハウスといったところでしょうか。

じゃあ、グラフィックデザイナーはというと・・・
実は設計士と同じ立場です。

そして全国に多くの小さな印刷屋さんがあります。
大抵の会社が、チラシからポスターまで、フルカラー印刷が出来ます。
何も、大日本印刷や凸版印刷に頼む必要はありません。
(家も地場の工務店でも十分建てられ、大手に頼む必要はありません)

しかし、ちょっとした「移転の知らせ」などを、センス良くつくりたいとしたら・・・
(販促チラシや会社案内、パンフレットなども同じです)

原稿だけ用意して、小さな印刷屋さんに任せるのも不安です。
それは印刷技術ではなく、『センス』『価格の適正さ』が判断できないのです。

こんな時、印刷業界では、デザイナーのほかに『広告代理店』という存在があります。

広告代理店の「アートディレクター」や「クリエイティブディレクター」といった存在が、実際に制作に関わる人たちをとりまとめします。(プロデューサーかも知れませんが・・・)

その人たちとは、

・グラフィックデザイナー
・フォトグラファー
・イラストレーター
・コピーライター
・その他のアーティスト
・地元印刷会社 など・・・


グラフィックデザイナーなどの、感性を刺激し新たな創造性を求められる人たちと、最終的な『納品物』として、

1.クライアントの予算
2.納期
3.印刷物の品質(誤字脱字や印刷ミスのチェック)
4.クリエイティブ性
5.期待される効果(問合せが増えるとか、増刷が必要になるなど)を出す
6.そして場合によって資金調達の助言

といった『プロフェッショナル』な仕事を求められる人たちとでは、おのずとその職能は変わってきます。

中国新聞のライターは合点がいったようです。

「そうですね。何で住宅業界にこれまでそんな存在がなかったのか不思議ですよね!」

グラフィックデザインの業界でも、著名なデザイナーはいます。

しかし、多くのグラフィックデザイナーは、『広告代理店』という「営業」と「デザイン」を融合した機能があるために、比較的安定的に仕事を得ることが可能となっています。小さな印刷会社も同様です。

じゃあ著名なデザイナーはといえば、クライアントから直接仕事の依頼も多いでしょう。でも発注側も企業の宣伝部など、プロが発注しているのです。

いきなり、雑誌やインターネット、展示会などを見て「このデザイナーに是非頼みたい!」と、直接コンタクトを取る発注者(法人でも個人でも)はあまりいないでしょう。

デザイナー側にとっても、素人からいきなりコンタクトがあっても、打合せの効率も悪く、デザイン料に対する理解も低いので困るのです。

また中には、印刷会社から仕事をもらうデザイナーもいます。
工務店から仕事をもらう建築士がいるように・・・(-_-;)

こうしてみると、住宅業界と良く似ていると思いませんか?
違うのは、設計士がインターネットなどを使って、素人相手に法外な設計料を要求しているケースを時々見かけるということでしょうか・・・?
「建築家って敷居は高くありませんよ〜!」って
(消費者は知らないでしょうが、まさにここは無法地帯です)

※このあたりをメルマガに書いたらすごい反響がありました。
 反響の大きかったメルマガはこちら



少し本格的な印刷物や広告制作になると、グラフィックデザイナーと印刷会社(大日本印刷から零細企業まで)だけよりも、クリエイティブ・ディレクターがいるほうが、コスト・品質・納期が確かになります。
(あくまでディレクターの力量にもよりますが・・・)

まさに『マネジメント』機能があるのです。

住宅業界にも、このような専門の機能があってもおかしくないと思いませんか?
これが私が考える『コンストラクション・マネジメント(CM)』です。
CMは決して施主の『分離発注』という意味ではないのです。

私が運営してるマネジメントサービスはこちら


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以前こんなコトがありました。 現地を直接見たお客様から電話がありました。 かなりその物件を気に入っている様子で、すぐに詳しい話を聞きたいというコトだったので、ご来店いただきました。 お会いしたときはすぐにでも契約したいという勢いだったのですが、詳し
マイホームを買わないという選択【I藤Y介の不動産営業マン日記】at 2005年07月21日 23:38
この記事へのコメント
 若本さん、凄い量と内容のあるブログですね。
アウトプットよりプロセスって話、感じいりました。
Posted by スガじい at 2005年07月22日 11:22
若本さん。コメントありがとうございました。
三品さんをご存知でしたか!住所地も近く親しくさせてもらっています。
三品さんとは、同じような業態で仕事をしているため、時々ノウハウを
ご教授賜っています。

相変わらず辛口のコメントで楽しませていただきました。
「設計・監理料」のバックナンバー読ませていただきました。
世間は、すごいですね。
設計・監理料18%!おそろしい!大先生なみですね。

住宅は、「飾る作品」ではなく「生活をする場です」
そこに至るプロセス大事ですね。

今後とも楽しませていただきます。
*セミナー成功するようがんばります。BLOGを通しても報告します。

宮崎。
Posted by 宮崎 at 2005年07月22日 20:55
はじめまして
メルマガのバックナンバーも読ませていただきました。
「設計・監理料が18%」と読んで
思わず、当社の過去の契約の設計料がいくらか
改めて確認してしまいました。
(安過ぎ?でもこれでいいんです。地元の工務店ですから)

デザイナーズハウスなどが流行り
以前よりは一般の方と建築家の距離が近くなったような
気がするのですが、『建築家に頼めば安心』ではない現実があるんですね。
Posted by 工務店潜入主婦 現る! at 2005年07月23日 11:57
こんにちは 
印刷業界も切り口を変えてみるとこんなことになっていたのですね
他業界も似たような状況があるんですね
勉強になりました
Posted by フム・フム 中鉢でした at 2005年07月24日 11:48
若本さん こんにちは
何度かこの件についてはトラックバック・コメントしあっていますね。
工務店の質については欠陥住宅話題でいい方向に向かっていると思いますが建築家への責任追及問題はなかなかクローズアップされてきませんね。
是非若本さんの頑張りに期待します!
Posted by 北村です at 2005年07月24日 14:53