最近相談に乗る家の過半数が
『高断熱仕様』となっています。断熱材や工法は物件によって異なっていますが、基礎については
『基礎断熱工法』を採用することがほとんどです。
一般的な基礎は、床下換気口がおよそ2間おきに開けられているか、『基礎パッキン工法』と呼ばれる基礎のコンクリートと土台の間に厚みのある樹脂を挟んで、床下の空気が入れ替わるようにしています。
そして、1階の床下にボード状の断熱材を根太の間に挟んで、床下に熱が逃げないようにします。床下は、外気と同じ温度環境になり、出来るだけ湿気がこもらないように通気を確保します。
しかし、どうしても床下に入った冷たい風が、床の小さな隙間や壁を伝って建物内部に入ってくるため、断熱性能が低く、壁の中に結露が発生するリスクが高くなっていました。
そこで、床下に外気を入れず、基礎のコンクリート部分に断熱ボードを張る
『基礎断熱工法』が、高断熱高気密住宅では一般的になってきたのです。
先頃、昨年秋にお引渡しした施主の家に訪ねて、住まい心地などを聞いたときに、「とても快適で暖かいのですが、玄関周りの基礎部分が雨も降っていないのにずっと濡れていて・・・」という話が出ました。
これを調べてみると、床下の『結露』だったのです。
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写真は、その建物の工事中の写真です。基礎の上に『気密シート』を敷き、その上に土台を乗せてアンカーボルトで締めます。
シロアリの多い西日本地区は、断熱材をコンクリート基礎の内側に設置しますが、この断熱材と土台の間にちょっとだけ出ているコンクリート部分が結露で濡れていたのです。
基礎断熱工法ではない一般の基礎であれば、外気温と床下の温度がほとんど同じなので、基礎部分に結露はありません。しかし、床下の断熱性能が高くなったことで、床下の温度と外気温の差が大きくなり、外気温によって冷やされたコンクリートが露出する
赤丸(○)の部分に、暖かい湿気を含んだ空気が触れることで結露が誘発されたようなのです。
床下に潜り、症状を確認できたので、この部分に新たに断熱材を張り付けて『断熱欠損』を解消しました。数日後、すっかり基礎部分は乾き、それ以来基礎が結露することはなくなりましたが、自然のメカニズムは、人間が頭で考えるよりも
『正直』に症状が出ます。
30年ほど前、北海道で断熱材を使い始めて、床下に結露が生じて「ナミダタケ」が生えてきたというのは、住宅業界では有名な話ですが、断熱性能が高まるほど、少しでも弱いところがあれば、そこに結露が集中するということが教訓になりました。
昔の隙間だらけの家には、ほとんど結露とは無縁でした。
断熱性能をアップするほど、予想もつかないところに結露するという不思議な現象が、家づくりの難しいところでもあります。
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