2012年06月03日

東北大震災復興支援視察セミナー参加報告(その1)

岩手県住田町復興住宅の視察6月になりました。去年の3月11日の東日本大震災以降、海外視察は二度訪問したものの、東北の被災地に足を延ばすことがなかったので、1日に岩手県住田町と陸前高田市の復興支援視察セミナーに参加してきました。参加者は日本全国の住宅関連業者の方々と、米国ワシントン州の関係者。
総勢二十数名の団体にアメリカ人も5人ほど参加し、復興の現状と課題を学んできました。

まずは、今回の大災害で、最初に「木造」で仮設住宅を供給した住田町の復興住宅の視察の報告です。

住田町の場所は、山あいの町「遠野市」とリアス式海岸に面した町「陸前高田市」の中間で、林業の盛んな人口7千人ほどの町です。元々林業日本一のまちづくりを目指して、国際的なFSC森林認証を得るなど、昭和五十年代から積極的に木材の需要拡大に取り組んできました。

木造仮設住宅現町長の多田さんは、インドネシアの津波やニュージーランドの大地震で派遣された自衛隊員の人たちがテントで宿泊しているのを見て、被災地に仮設の木造住宅を供給できないだろうかと研究をはじめ、商品開発をスタートさせたそうです。それがよもや今回の震災で関係の深い隣の自治体、陸前高田の被災者の方々を収容する仮設住宅を建てるとは思いもよらなかったそうですが、準備はできていました。

右の写真が、震災前に開発しこのたび地元で建設した木造の仮設住宅です。今は使われていない小学校のグランドに63戸の仮設住宅が建てられました。地元でとれた木材を、地元のプレカット工場で機械乾燥・製材し、地元の大工さん、建設業の方々を総動員して、1か月で建築したそうです。1戸あたりの建設コストは約270万円。およそ3人工、2〜3日で完成させていきました。国の予算を待っていたら建てられないので、NPO法人等からの募金でGOサインを出したそうです。入居後に、大手商社からNPO法人を通じて太陽熱温水器の支援も得られ、各戸の屋根にはチリュウヒーターの温水器が載せられています。

太陽熱温水器が並ぶ写真をズームしてみると、屋根の温水器などがよくわかると思います。このあたりの冬は、マイナス十度前後になり、光熱費が入居者負担ということから、少しでも光熱費が助かるようにと、入居後に支援の一環で贈られ取り付けたそうです。

床面積は一戸当たり9坪の2DK。一辺が3間(約5.4m)の正方形で、田の字型の間取り。トイレや浴室も個別についています。柱の間に、パネル化した厚みのある木の壁を挟み込んでいく形で、耐震性も担保。室内は、まるでログハウスのようなイメージです。
建築の過程で一番困ったのは、震災の影響でサッシの調達に時間が掛かったこと。そしてユニットバスも同様に調達できず、浴槽から上の風呂の壁も木製にせざるを得なかったので、風呂の湯気が室内に溢れ、結露の要因になったこと。
視察メンバーと仮設住宅
木造仮設住宅内部
未入居の木造仮設住宅の内部も、町役場の課長に案内していただきました。天井の仕上げはなく、剥き出しながら屋根の垂木の間に断熱材が張り付けられています。

仮設住宅のお風呂お風呂は当時何とか調達できたハーフユニットで腰から上部は木製。見た目は温もりがありいいのですが、天井が開いたままなので、やはり実用的にはユニットバスで湿気を閉じ込め、換気扇で排出するほうがよかったようです。結露の問題は、その後追加の予算が付いて、二重窓や玄関の風除室設置など、窓ガラスの結露と寒さはかなり改善されたということでした。

入居者にあまりご迷惑を掛けないようにするため、会場を移動して地元のホテルで昼食と併せて多田町長の話を聞きました。通訳を介して、アメリカから来た参加者も参考になった様子です。真ん中のネクタイにスーツ姿が多田町長。そのすぐ右後ろの最後列にいるのが私です。
住田町長と参加者の記念撮影

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