6月になりました。去年の3月11日の東日本大震災以降、海外視察は二度訪問したものの、東北の被災地に足を延ばすことがなかったので、1日に岩手県住田町と陸前高田市の復興支援視察セミナーに参加してきました。参加者は日本全国の住宅関連業者の方々と、米国ワシントン州の関係者。
総勢二十数名の団体にアメリカ人も5人ほど参加し、復興の現状と課題を学んできました。
まずは、今回の大災害で、最初に「木造」で仮設住宅を供給した住田町の復興住宅の視察の報告です。
住田町の場所は、山あいの町「遠野市」とリアス式海岸に面した町「陸前高田市」の中間で、林業の盛んな人口7千人ほどの町です。元々林業日本一のまちづくりを目指して、国際的なFSC森林認証を得るなど、昭和五十年代から積極的に木材の需要拡大に取り組んできました。
現町長の多田さんは、インドネシアの津波やニュージーランドの大地震で派遣された自衛隊員の人たちがテントで宿泊しているのを見て、被災地に仮設の木造住宅を供給できないだろうかと研究をはじめ、商品開発をスタートさせたそうです。それがよもや今回の震災で関係の深い隣の自治体、陸前高田の被災者の方々を収容する仮設住宅を建てるとは思いもよらなかったそうですが、準備はできていました。
右の写真が、震災前に開発しこのたび地元で建設した木造の仮設住宅です。今は使われていない小学校のグランドに63戸の仮設住宅が建てられました。地元でとれた木材を、地元のプレカット工場で機械乾燥・製材し、地元の大工さん、建設業の方々を総動員して、1か月で建築したそうです。1戸あたりの建設コストは約270万円。およそ3人工、2〜3日で完成させていきました。国の予算を待っていたら建てられないので、NPO法人等からの募金でGOサインを出したそうです。入居後に、大手商社からNPO法人を通じて太陽熱温水器の支援も得られ、各戸の屋根にはチリュウヒーターの温水器が載せられています。