今回は住宅取得に関連する他の方が書いた書籍を紹介してみます。MUJIの家やSE構法など、木造住宅を手掛ける工務店グループを率いている会社の社長が書いた本です。
本の帯に『「木」と「木の家」と「工務店」を知り尽くす著者が裏の裏の裏事情まで明かす』と紹介されていました。
海外旅行必携の『地球の歩き方』と同じく、その地に旅行に行ったことのない人にとっては、現地で体験した人しか分からない情報が掲載されていれば「この本は知りたいことが詳しく書かれている!」となるのでしょう。しかし実際に海外旅行をすると、ガイドマップに書かれているだけの知識で対応できないこと、どうしたらいいか分からないことが次から次へと襲ってきます。
そもそも国際空港での出国手続きから戸惑い、飛行機に乗ってキャビンアテンダントが英語で話しかけてきて、どう返したらいいのかなど・・・。初めての海外旅行は、本だけでとても対処できるものではありません。
家づくりも同様で、いかに業界事情に詳しい人が、裏事情まで紹介し「こんな工務店さんだったら安心ですよ!」と工務店選びのポイントを詳しく書きだしていたとしても、ほとんどが初めての経験で、本に書いてある通りの理想の企業が現れ、何もトラブルや不安もなくスムーズに進むことはまずありません。
かえって体験したことがないのに、事前に知恵だけつけて、疑いの目を持って”取捨選択をするための厳しい質問”を投げ掛けると、評判が高くいい仕事をする忙しい会社ほど、お客さんを選ぶから、いい工務店に出会えないというジレンマに陥ります。
だから、実際に工務店選びの本を書く人は、少なくとも自分が対応できる範囲で、直接「業者選びのナビゲート」をし、「お引渡しまで寄り添うこと」で、初めて自分が書いたことについて責任を持つことが可能です。
本に書かれていることが実現可能だとしても、実際に自分たちが負担できる範囲を超えるお金が必要であれば本末転倒。だから私は「理想を書く」よりも、相談者ひとりひとりが「自分で意思決定できる状態」をつくってあげること、判断するための「複数の選択肢を提供すること」が大切だと考えています。
決して、プロの知恵を知識として提供するだけでは、いい家を適正価格で入手することは困難です。ちなみに私も本を書いているので、参考にご紹介しておきますね!
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4889692347/cmshiroshima-22/