前回のブログ更新から、熊本で大変な大震災が発生し、被害は大分まで広がっています。これまで記録にない『震度7の地震が2度襲う』という前代未聞の震災により、数多くの建物が倒壊や損傷を受けました。木造のみならず、宇土市役所などRCの構造物まで大きな損傷を受けていました。
現在の住宅の耐震強度は、阪神淡路大震災の震度を基準に、大きな揺れでも倒壊しない強度としており、比較的新しい耐震性能が確かな建物は、大きな損傷を免れているようです。それでも一度の本震ならまだしも、最初の震度7の地震で損傷を受けている建物が、もう一度揺らされることまで、これまでの耐震強度は想定していません。業界にとっても、今回の地震は大きな教訓となりました。
さて、耐震と併せて
最近重要視されている建物の性能は『省エネ』です。具体的には「建物の気密性能」と「断熱性能」。断熱性能も、単に熱損失を少なくするだけでなく『日射取得』や『日射遮蔽』といった、太陽の熱エネルギーのカットや取り込みなど、立地条件や建物の方角によっても異なる数値が求められるようになりました。
しかし断熱性能、外皮からの熱損失は、設計図書から計算で出せますが、
気密性能に関しては実際に機械で計測しなければ、実際の性能はわかりません。ということで、このたび広島市安佐南区でお引渡しするN様邸で、施主立会いの下「気密測定」を実施しました。
気密測定の方法は、完成した建物に機材を持ち込み、玄関ドアやサッシなど、すべての窓を閉めて、強力なファンで室内の空気を外に排出します。隙間だらけの家だったら、窓を開けて扇風機を回しているのと同然、何の負荷も掛かりませんが、気密性が高いと建物内部が「負圧」となって、抵抗が生じます。
窓に設置しているファンを回し、
通気量を変えながら連続して5回計測して圧力差をプロットしていくことで、建物全体の隙間面積が分かります。それを床面積で割ることで、気密測定値「C値」を得ることが出来ます。この測定は『気密測定士』という国家資格を得た専門家により計測され、公式データとなります、
こちらのお宅では、施主ご家族も立ち会い、どこかの自動車メーカーのように計測方法をごまかすことなく気密測定を行いました。リアルタイムに機械のディスプレイにデジタルデータが表示されるので、ごまかしようがありません。
測定結果に床面積を入力して、相当隙間面積C値が自動計算されます。結果はC値=0.3cm2/m2と、かなりいい数値が表示されました。出力結果は記念に施主にも手渡され、私にも控えを出力してもらいました。
このような高い気密性能を出すためには、大工さんたちの丁寧な仕事が欠かせません。隙間のない家が出来て、初めて換気システムが性能通り発揮して、結露などの懸念も解消します。今のような心地よい季節は、窓を全開にしても全く問題はありませんし、逆に近所の音がうるさい(街宣車が通る)とか、花粉症、PM2.5などの粉じんが気になる人は、
必要な時に窓を閉じると外部からの音やほこり、温熱変化等をシャットアウトできるというのが大きなメリットです。
施主自身もこの気密測定の体験と出力データがいい記念になったと思います。
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