新型コロナウイルスによって、予想もしなかった1年となった2020年ですが、ここ数年は住宅の仕事以外に街づくりの相談も増えてきて、このたびは広島市の中心市街地の活性化にも携わるようになってきました。これは、住宅地の視察で海外の住宅事情などを知り、単に”個人の敷地に建つ一戸の住宅”の性能やデザインを追求するのではなく、住みやすさや建物の資産価値、近隣のコミュニティなどは、都市計画やランドスケープデザインなど、街づくり全体を考える必要性を感じて、広島市の都市計画審議会の委員になるなど、街づくりへの情報発信、提言への共感が拡がってきたようです。
このたびご紹介するのは、政令指定都市の広島市内中心部でも、身体のヘソにあたるような中心地『中区袋町・中町』を、平和大通りから本通り商店街に南から北に向かう一方通行路の賑わいを再生するプロジェクトです。
通常、賑わっている通りは愛称などが付けられ、例えば本通り商店街のすぐ南側に並行して走る、東西の2本の通りは、地元商店主たちが「うらぶくろ商店街」という名前をつけ、それが市民の間にも浸透してきました。今回はこの「うらぶくろ通り」と直行する通りに面して、約90mにもわたる建物が長らくファサード(正面)を閉めたまま、都心の衰退の象徴にさえなっていたNTT袋町ビルを、何とか街の再生に協力してもらおうと、今年1月くらいから動き始め、まだ新型コロナの緊急事態宣言が出される前の今年3月はじめに提案書をまとめ、紆余曲折を経てこのたび、まずは暗かった壁面をきれいにリニュアルし、昨日(12月11日)お披露目のセレモニーが開催されました。